FUJIROCK EXPRESS '25

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/25 FRI

MDOU MOCTAR

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Posted on 2025.7.25 21:38

超スリリングな“砂漠のジミヘン”降臨!

昨年のGlastonbury Festivalで観てから今年のフジロック出演も決まり、絶対に観たいと思っていたエムドゥ・モクター。ニジェール共和国、遊牧民トゥアレグ族出身のエムドゥ・モクター(Gt / Vo)率いる4人組が、太陽の照りつけるホワイト・ステージに登場だ!

最前列くらいに行けばすごいことになるのは知っていたので少し迷ったが、ヘヴン方面から向かってすでに前方が埋まっていたので無理をせずPA前あたりで待機。トゥアレグ族の民族衣装だという青い服に、白い長めのターバンで現れたエムドゥは早速、強烈なギターを繰り出した。レフティで弦を逆に張っていることもあって“砂漠のジミヘン”と称されるという彼だが、そのたたずまいもただならぬ存在感を放っている。

グルーヴ主体のスタイルという意味では、テキサスからタイのフィーリングを持ってきた19年のクルアンビンや、昨年のインドネシア発レッツ・ゲット・ファンキーのアリなどとも近い、いわゆるヘヴン系のニュアンスもあるが、場所が違えば魂も違う。もっとアグレッシブでエキサイティングにギターで切り込んでいくのが、エムドゥ・モクターの真骨頂。フレーズをリフレインしながらジリジリと刻んでいくグルーヴが、最高潮に達した時歓声に変わるあの感じに、トレモロピッキング、トリル、タッピングといった技法を織り交ぜたギターが絡み合って、どんどん興奮が伝播していくホワイト・ステージ。人もどんどん増えてきた。

「You’re the best guys!」と意気揚々なエムドゥ。山々の風景も含めて、初来日のライブを楽しんでいるようだ。テクニカルではありつつ、手癖で弾いてるようなナチュラルな雑味もあるギターが唸る唸る。そして手拍子を煽ったりもする。こういうことする感じなのはちょっと意外で楽しくなってしまった。

しかし暑い!日差しが強い!僕は少ししんどくなってきたので、後方のポカリスエットの列に並びながら観ることに。どんなに楽しみでもこういう判断は必要だ。でも、それで損なわれるどころかフィールド全体の熱気を感じられて、もっと気分があがってきた。直線的なキックでずんずん進みつつ、4分の中に3分を内包するふくよかなリズムに、ポカリ列のみんなも並びながら踊ってていい感じだ。今年はPAテントが移動したようでポカリやハイネケンに並んでいるとブラインドになるのは少し残念ではあるが、ゆったり広くなったヘヴン側で踊ってる人もいる。

かなり長々と時間をとってチューニングをしてからの、満を持してはじまった時の高揚感。そして中盤ではフォトピットに降りて最前列の人たちと同じ目線でギターを弾き倒すエムドゥ。後方からはその場面を生では見られないわけだが、上部のモニターではやたらコントラストの強いモノクロの映像が中継されていて、さながらドキュメンタリーな臨場感に気持ちも高まってくる。眼前であの手元が見えるのはめちゃくちゃ興奮するだろうなあ。最後にもう一度フロアに降りた時には、まさかの客席に入ってギターを弾くなんて場面も見られて(グラストでもやらなかった!)、超スリリングなエムドゥ・モクターのライブは嵐のように過ぎ去っていった。

あまりシリアスなトーンを感じさせないパフォーマンスからは想像しにくいかもしれないが、実はニジェールの苦境やトゥアレグ族の人々の怒りなど、政治的なメッセージを強く打ち出した歌詞のエムドゥ・モクター。トゥアレグ語の一種のタマシェク語やフランス語を聞き取れるならまた話は違うかもしれないが、言葉の壁を超えてギターに託す姿を通して、ホワイトに集ったたくさんの人々にもきっと何かが伝わったことだろう。

[写真:全10枚]

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7/25 FRIWHITE STAGE