THA BLUE HERB

アンダーグラウンドヒップホップ、ここに上陸

5年ぶり4回目の登場となるザ・ブルーハーブ。ステージに現れたその時からラッパーILL-BOSSTINO(以下BOSS)のリリックがホワイトステージに鳴り響いた。BOSSの「準備はいいかい?」の一声で一気に怒号とも思われる客の歓声があたりを包み込んだ。

ザ・ブルーハーブの最大の特徴である自身の存在誇示、政治、音楽業界への批判を含むリリックはもちろん、3.11の東日本大震災、いまだ解決されない福島の原発問題についても多くを語っていた。ザ・ブルーハーブと言えば、ディスリリックが聴衆を集めがちだが、今回、このフジロックのステージでは、「生」に対するメッセージが強かったと思う。

「パーティーはすぐ終わっちまう。乗り遅れんなよ!」と言い放ち始まった名曲”AME NI MO MAKEZ”。BOSSからのメッセージを聞き逃さないようにと客は踊るのも忘れ、なかば棒たちにBOSSを見つめていたのが印象的である。筆者である僕も、メモをするのも忘れ、BOSSのメッセージに引き寄せられ、そして感情を動かされた。ヒップホップのライブで多くあるような浮かれた感じはまるでなく、ザ・ブルーハーブというのは、我が道を行き、自分の言葉をとても大切に、そしてそれをストレートに伝える唯一無二の存在であると僕は思う。途中、ステージ脇のカメラを呼び寄せ、「3.11以降一体なにをしてきたんだ?君のかっこいい仕事っぷりを見せてくれるのはまだなの?」と、政治家、電力会社に対する篤い思いを語った。感情のこもったBOSSの声に引き寄せられるように客も声をあげ、涙ぐんでいる人もいたくらいだ。

「このあと、すげぇやつが、ヤバいステージをやっても俺の言葉は生きていてくれよ」と言い放ち始まった”未来は俺らの手の中”。途中、「政治家や電力会社に未来をわたすな!未来は俺らの手の中!」と言ったのがとても印象的で心に残っている。ヒップホップ界でこれほど強くメッセージを持ち、観客にズバズバつき刺せるユニットは他にいるだろうか。自分に正直で、素直で、そしてストレートに放つリリック。そしてO.N.Oのトラックも相まってホワイトステージ、客の心の中にはきっと青い花が芽吹いていた事だろう。


写真:深野輝美 文:丸山亮平
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