フジロックの醍醐味、それは普段なかなか触れることのできないジャンルの音楽に図らずも出会ってしまうことだ。オレンジコートよりも奥のフジロックステージの中でも最果て、カフェ・ド・パリスはパリの歴史的なキャバレーを再現したお洒落でディープなステージ。
カセットコンロスは、ギターヴォーカル、サックス、パーカッション、ベース、ドラムスの5人から成るカリプソ・バンド。レゲエのルーツのひとつと言われているカリブ海の音楽を奏でる日本人アーティストである。
会場にたどり着くと、雨でどろどろになった足もとにも関わらず、ステージ後方まで、カラフルなレインウェアに包まれたお客さんで溢れていた。中に入ると暗がりのなかにミラボールがくるくるまわり、何とも言えないエキゾチックな雰囲気。わずか20分の演奏であったが、中盤にはフィッシュマンズの「ひこうき」のカリプソカバーで披露。ゆったりとした音楽に身を任せ、幸せな表情が会場を彩っていた。ラストは「アーハーアーハ」のコールで大合唱&ダンシング。「こういうバンドこそもっとみたいよ!」なんて声が会場を後にする人たちのあちらこちらで聞こえていた。
文:千葉原宏美
写真:古川喜隆