火炎の舞踏
「ハイハイ、ちょいとあけて、開けて!」
そうして形作られたスペース。よくよく見れば、奥には黒くて巨大な幕が掲げられている。空いたスペースには段ボール積み重ねられ、地面のところどころで火種がチラついていた。
スターウォーズのジェダイのようなマントを纏った女性がふたり、ゆっくりと幕の奥から出てきた。そのマントを脱ぎさると、ボンデージファッションで、くねくねと奇妙な踊りを繰り広げながらこちらへと近づいてきた。ヒステリーが極まったかのように段ボールを叩き、蹴散らして、ひとりのたくましい男を迎え入れていた。
女2人と男はバトントワリングの要領で、バトンの両端に宿した炎を振り回す。炎が軌跡を残すたびに「ボボボッ…」という音があたりに響いていく。
若干の物足りなさを感じた頃か、幕の奥から、竹馬に乗り金色のボンデージファッションに身を包んだクジャクのような女が出てきた。
紅白の小林幸子を骨組みだけにして危険度を増したかのようなそれは、放射状に火炎を吐いて、熱をあたりに振りまいていた。
文・西野太生輝
写真:近澤幸司