前夜祭のインタビューの時、「さっきフェニックス(不死鳥)にマジックでメッセージ書いてきたから」と話してくれた日高さん。それが知りたくて、再び奥地へと足を運ぶ。不死鳥に近づいてみると、尾っぽの付け根あたり、オブジェの下の方に、メッセージが書かれたいた。
「この不死鳥の木や金具の一部は、津波の現地から届いた物で作っています SMASH 日高」
そこからは、日高さんの強さ、そして、優しさが伝わってくる。こういう人がフジロックをやっているのです。自分がそれに関わることができて本当にうれしく思う。
不死鳥は、死なない鳥。死んでもまた必ず蘇る鳥だ。
ウィキペディアによると、「数百年に一度、自ら香木を積み重ねて火をつけた中に飛び込んで焼死し、その灰の中から再び幼鳥となって現れるという。」とある。
不死鳥のオブジェに津波被害地域の実際の木材を使っていることは、本当に大きな意味があると思う。
メッセージが書かれている木材には、ドアノブが付き、窓らしき枠がある。おそらく、誰かの家または部屋のドアだったのだろう。そして右側には、家具の扉とおぼしき木材が使われれている。津波によって、それまでの平穏な生活が突然かつ一瞬にして無くなってしまったことを思うと、胸が痛む。でも、悲しんでいる場合ではないのだ。支援できる立場の人間として、各自がやれることをやっていかなければならない。
この不死鳥は、震災にあわれた方はもちろんのこと、これから腰を据えて復興支援をしていく私たちへの励ましでもあるかのように感じた。
文・写真:近藤英梨子