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7/25 FRIORANGE COURT

H ZETTRIO

笑って踊れる超絶ピアノトリオ

とにかく暑いピーカンの初日。グリーンステージでは豪華なオーケストラで盛り上がってるだろうけれども、朝一だしゆっくり(?)ジャズでも見ようよ、そんな大人フジロッカーが集まった雰囲気のオレンジコートだったのだけど、ライブ開始直線でも前方はかなりガラガラ状態。ステージ前には数十人しかいない。

そんな空気を察してか、ゆるーく自然体で登場したエイチゼットリオの3人。ピエロチックに鼻を塗ったいつもの姿で登場し、演奏し始めたのは“YOU”。アルバム『★★★』のラストを飾るバラードだ。美しいピアノの調べにゆっくりとウッドベースとドラムのリズムが重なっていく。次第にリズムが激しくなり、エイチゼットエムのピアノが速弾きになってどんどんグルーヴを増していく様子をオーディエンスは息を飲んで見つめている。そのあとは彼らの真骨頂とも言えるハッピーチューンとおもしろパフォーマンスが続く。

エイチゼットエム(ペズのヒイズミマサユ機とははとこだそうで。)の超絶テクニックは無重力奏法なんて呼ばれているらしく、素人目から見てもものすごいことが容易にわかる。とにかく早くて見ているだけで目が回りそう。それに加えて椅子に寝転びながら弾いたり、ピアノの下にもぐりながら弾いたり、はたまたジャンプしたり奇声をあげたりとか、いちいちコミカルな動きとか、そんな一挙一動が人を惹きつけていて、もはや彼自身がひとつの生きた楽器なのではないかと思うほどに全身から音楽が溢れだしているのだ。

もちろんそれに応えるエイチゼットニレのウッドベースも、その指の動きを目で追っているだけで胸が締め付けられるほどにかっこいいし、エイチゼットコウのドラムはクールなジャズのリズムからラテンのようなダイナミックなリズムまで変幻自在だし、ピアノ、ウッドベース、ドラムのこのシンプルなトリオジャズ編成がこんなにおもしろいものなのかと誰もが思わずにいられないだろう。

“ぼくをみていた”“パノラマビュー”などのキャッチーでメロディアスな楽曲になるとオーディエンスも自然と体を揺らしハンズクラップをするようになっているし、小ネタのような様々な動きにもいちいち笑いが起きるようになっていてもうすっかり魅せられている。気がつけばオーディエンスは直前の5倍以上にも膨れ上がっていた。そんな中でラストは新曲のバラード。思わず目を閉じて聞き入りたくなるような美しい曲で締めた彼らに温かい拍手が送られていた。

踊って、笑って、感動して。音楽の楽しさを改めて教えてもらった、そんなライブ。この3日間にどれだけそんな思いができるかワクワクが止まらない。彼らの言葉を借りて「皆様のこれからがいい日でありますように!」。

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