DAMON ALBARN
ポジティブ感に満ちたステージ
とっぷりと日が暮れ、メインステージのグリーンステージに涼しい風が心地よく吹いている。ブラーのフロントマンであり、ゴリラズをはじめ数多くのプロジェクトを手掛ける鬼才、デーモン・アルバーンがソロアーティストとしてこの地に登場するのだ。青白く光る七芒星が、ステージのバック中央にドーンと掲げられている。
ステージが暗転し、ザ・ミーターズの”Chicken Strut”が流れてデーモンとバンドがゆっくりと登場した。デーモンは笑顔でおおげさに両手を振り上げ、オーディエンスに苗場への帰還をアピールする。今年の春にリリースされたソロ・アルバム『エヴリデイ・ロボッツ』のリードトラックの”Lonely Press Play”からステージの幕があがった。この曲にしても、続く不穏な音色のストリングのイントロが特徴的な”Everyday Robots”にしても、楽曲自体は孤独感漂う暗めの曲だが、それがここ苗場だとポジティブに聴こえてくるのだから不思議なものだ。
「Fujirock!Are you ready!!」と叫び、ピアニカを会場にもの悲しく響かせ、ゴリラズの名曲”Tomorrow Comes Today”を投下する。タビーなベース音が、実に心地よくズンズンと腹に響く。ステージが真紅に暗転し、はじまった”Kids With Guns” でデーモンは、テレキャスターを手にし、ノイジーにかき鳴らして宙を舞う。その往年のブラー時代を想起させる派手なステージアクションに観客も笑顔でジャンプし応えるのだ。
“Three Changes”の後、デーモンが「ほんと暑いね。」と一言。見るとすでに汗だくだ。「昨日、京都に行ったんだ。すごくいいところで気に入ったんだけど、暑過ぎてさ。寺とか見て回ったんだけど、あまりの暑さにこんな状態になったよ。」とうなだれた仕草でおどけてみせる。このステージをリラックスし、いかに楽しんでいるのが見て取れ、こちらも嬉しくなってくる。初来日の時の話もして、「初めて日本に来たのは、確か1990年か1991年でかなり昔なんだけど、とにかくその時は、日本のみんながあらゆるものを写真におさめまくっていたのに驚いたね。当時は日本独特のことだったけど、今では世界中のみんながそれと同じことをしている。次の写真についての曲をみんなに贈るよ。」と、はにかみながら”Photographs (You Are Taking Now)”のイントロをピアノ奏ではじめるた。明らかに狙ったわざとらしい持って行き方にフロアから笑い声が起こる。自分の暖かい声を際立たせるべく、ピアノを全面に出したアレンジが実ににくい。
サイレン音が鳴り響きはじまる”El Mañana”では、コーラス隊も加わり、重厚にサビを歌い上げる。途中でデーモンは、フロアまで降りていき最前列のオーディエンスとハイタッチして回りフロアを盛り上げる。ブラーの名曲”End of a Century”をピアノで弾き語れば、フロアから自然とハンドクラップが沸き起こる。間でミニマルに挿入されるトランペットの柔らかい音色が実に感動的に響き渡る。
MCをステージに呼び込み、その日本語のMCが意外なほどきまっていた”Clint Eastwood”と、タンザニアで出会った小象のことを歌った軽快な”Mr. Tembo”で、オーディエンスから鳴り止まない手拍子がおくられ、本セット一番の盛り上げをみせる。ラストの”Heavy Seas of Love”で、デーモンは、流麗なピアノの調べとコーラス隊とともに高らかに歌い上げ、荘厳に本ステージを締めくくった。フジロック、および苗場とミュージシャンとの関係はいつだって特別である。デーモンは、そんな苗場ならではのポジティブ感に満ちたステージを披露してくれた。
-Setlist-
Lonely Press Play
Everyday Robots
Tomorrow Comes Today (Gorillaz song)
Slow Country (Gorillaz song)
Kids With Guns (Gorillaz song)
Three Changes (The Good, the Bad & the Queen song)
Hostiles
Photographs (You Are Taking Now)
Kingdom of Doom (The Good, the Bad & the Queen song)
Hollow Ponds
El Mañana (Gorillaz song)
End of a Century (Blur song)
All Your Life (Blur song)
Clint Eastwood (Gorillaz song)
Mr. Tembo
Heavy Seas of Love
posted on 2014.7.26 19:20
SAME CATEGORY
-
BIG WILLIE’S BURLESQUE FUJI REVUE
posted on 2014.7.27 20:29
-
BIFFY CLYRO
ストイックに真っ向から勝負
posted on 2014.7.26 20:00
-
THE STARBEMS
爆音ハードコア・パンクで魅せるアツい漢たち
posted on 2014.7.26 11:40
-
Shigefumi Wada
posted on 2014.7.26 11:33
-
RYUHEI THE MAN (universounds)
posted on 2014.7.28 02:30
-
オーサカ=モノレール
posted on 2014.7.27 13:40