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7/25 FRIWHITE STAGE

高橋幸宏 with In Phase

洗練された大人の空間がホワイト・ステージを包む

18時台のホワイトステージは日が落ちはじめ、空には若干の雲がかかり、溶けそうになるくらいの昼間の暑さが落ち着き始めたころだった。白シャツに細見の黒いパンツと揃いの出で立ちで登場したのは、YMO、Pupa、THE BEATNIKSなど、幅広い音楽活動を続ける高橋幸宏が率いる In Phaseの面々だ。メンバーは、元スマッシング・パンプキンズのジェームズ・イハ、 高桑圭、 堀江博久、ゴンドウトモヒコ、鈴木俊治といった高橋幸宏の演奏に欠かせない気鋭のミュージシャンが名を連ねる。

スライドギターで始まるイントロが印象的な”Looking For Words”が始まると、座っていた人たちが徐々に立ち上がり始める。バンドのフロントである高橋は、ドラムで確かなリズムを刻みながら、少し物憂げで透明感のあるボーカルで何とも言えない心地よさを生んでいる。初日は平日のせいか、お客さんは少なめに見えたが、このステージを心待ちにしてきたファンがいるのは確かで、彼の音楽に静かに耳を傾けていた。

高橋幸宏はソロとしては2009年に、そして2011年にはYMOとしてフジロックに出演している。今回の編成は、YMOのテクノポップな音色とは違い、どちらかといえば60~70年代のロックやポップスを独自に昇華したバンド感が強い楽曲が中心となる。ノリノリで踊るというよりは、穏やかに聞けて、気持ちよくなる楽曲が多く、たくさんの音楽を聞いて来た人が行き着く音楽にも捉えられる。「YMOでもやったことがなかった」というドラム兼MCの役割。「もっとクールに行きたかったのに」と高橋は呟くが、バンドの面々、音楽、ステージを囲む森や空など、バンドがステージに立つだけで、すでにどこか洗練されたクールな雰囲気はありありと感じられる。

中盤では、この日オレンジコートに出演したジェームズ・イハをフィーチャーしている。2006年リリースの『Blue Moon Blue』からの”Where Are You Heading To?”を披露。ドラムと電子音が巧みに絡む音に、ジェームズは深みのある声で語りを乗せる。ヒヤリとした風が無機質な空間を演出している。続いてギターを持ち替えたジェームズはYoutubeでも馴染みのあるソロ名義の楽曲”To Who Knows Where”を披露した。ギラギラとしたギターと乾いた歌声が切なくて胸を掴まるれる曲だ。10曲ほどのアクトの中で、ステージ上のメンバー、会場で音に聞き入るお客さん共々、本当にいいものをただただ味わっているようで、終始静かな空間には、お祭り騒ぎをしたい人たちには物足りたい空間なのかもしれないが、苦みのあるコーヒーを美味しいと味わうことに喜びを感じられるような大人の空間がそこにはあるのだ。

終盤には昨年発表されたアルバム『LIFE ANEW』からの代表曲”All That We Know”が演奏されると、会場は壮大なスケールの中に包み込まれていた。演奏終了後のホワイト・ステージは、爽快感と充実感で満ちあふれていた。

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