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7/26 SATFIELD OF HEAVEN

THE LUMINEERS

オーディエンスが発する声や音が加わることで、1曲1曲がより濃いものに

1日目のグリーン・ステージにも登場した、ザ・ルミニアーズ。フォーク・ロック・バンドであり、クラシックポップであり、とは言われてはいるが、その型だけにはハマらない米デンバー出身の5人組のバンドだ(現に昨日はPA屋根上=イントレ頂上で演奏するなんて貴重なパフォーマンスも)。今回は2日目のフィールド・オブ・ヘブンでの登場となる。

ライブは会場の後方まである程度オーディエンスが待ち構える中、”Classy Girls”からスタート。そこから” Ain’t Nobody’s Problem”、”Flowers in Your Hair”、”Ho Hey”、 “Dead Sea”など、立て続けに演奏していくのだけど、彼らにとっての1曲って本当に濃いな、と思わせられた。昨日もそうだったかとは思うが、理由の1つにほぼ1曲毎にメンバーが持ち場の楽器をクルクルとスイッチさせていく、というのがある。しかも、5人中、2人(!)はマルチプレイヤーとも言えるくらいで、ジェレマイア・フレイテスはドラムをメインにピアノやマンドリンなどを、ステルス・ウルヴァングはピアノをメインにアコーディオンやアコギなどと曲によって移り変わっていくのだ。ステルスはボーカル横にセットされたバスドラとタム、シンバルで音を奏でることもしばしばある(しかも、マラカスをスティック代わりにタムを叩いてみたり、色々な音を生み出しているようなところがある)。だから、次にどういった展開になるのかほとんど予測できないくらいだ。

もちろん、それだけで述べている話ではない。曲ごとに観客の手拍子なり、コール&レスポンスなり、シンガロングなり、会場でしか沸き起こらない要素を取り入れ、それも曲の一部と捉えている、というところも1つの理由。あと、そんなある意味ロック的な部分があるのに、この日も披露された”Slow It Down”のように音をミニマルに押さえた状態、まさにストリートで奏でるようなフォーク感もある、というのも理由だ。そうやってライブ中、いろんな要素が入り混じり、またオーディエンスがバンドの一部として加わっていくことで、1曲1曲がより濃く、より強さのある曲にどんどん変化を遂げていくのがまた面白い。

そして、後半戦、今回はどんな場所で演奏してくれたりするのだろうか?なんて淡い期待を抱いていた中…バンドの中心人物であるボーカル&ギターのウェスリー・シャルツ、ジェレマイア、ステルスがステージを降り、向かった先はまさにオーディエンスがいるその場所(ステージに残ったのはウッドベースに持ち替えたベースのベン・ワハマキ、コーラスマイクの前にスッと立ったチェロやマンドリンなどもおこなうネイラ・ペカレック)。言わずもがな、一気にオーディエンスが彼らの近くに押し寄せ、さっきまではもう少しゆとりがあったのに、360度見渡す限り人とギュッと密度が高くなる。フジロックでしかも、フィールド・オブ・ヘブンでこんなライブが観られるなんて。本当に贅沢である。そして、メンバー同士向かい合わせになりながら“Darlene”を、次は観客を見渡すように“Elouise”を披露。場所何てどこでもいいんだ、この音楽、そして、聴き手がいれば、と、ザ・ルミニアーズとしての姿が剥き出しになっていくような感じがあった。

その後はまたステージに戻り、“Flapper Girl”など、終盤に向けて複数演奏を。パフォーマンス力の高さはもちろんだけど、バンドが持つシュチュエーションを問わないあの身軽さは今後ますます強みになっていきそうだな、と思う。

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