シアターブルック
かっこいい大人ってなんだろう
さぁ今年のホワトステージが始まった。
白いブラウスにエンジのスカーフがこんなに似合うミュージシャンが日本人にいるだろうか。プリンスかはたまた往年の藤岡弘である。そんなことは置いといて、佐藤タイジ(Vo/Gt)、中條卓(Ba)、エマーソン北村(Key)、沼澤尚(Dr)という鉄壁の4ピースが登場するだけで何かホワイトステージの空気が引き締まる。
あいさつ代わりの沼澤のカッチカチのスネアを合図にいきなり”ありったけの愛”で午前中の眠気をぶっ飛ばしてくれた。後半、ミニー・リパートンの”Lovin’ you”をオーディエンスにスキャットさせ、「これやっといたら晴れるから。おまじないみたいなもんだから」と、そのメロディに乗せて<ありったけのあ〜いだけで〜>と歌うタイジの気持ちよさそうなこと。
昔から言動と行動に矛盾のない人だったが、最近のソーラー武道館の活動など、現実的に将来世代のために良い未来を残そうとするタイジのありのままのオピニオンは今年のフジロックでも変わりない。いや、さらにナチュラルにパワーアップしたぐらいかもしれない。
これだけは今年のフジロックで絶対言っておきたかったと、「みんな次の選挙は絶対投票行こうや。戦争の責任を子供に押し付けるのは大人とは言わへんで」と、ニューアルバム『LOVE CHANGES THE WORLD』から、”もう一度世界を変えるのさ”という、明確なメッセージがあるからこそ、穏やかなメロディとグルーヴを持ったこの曲は、これからのシアターブルックを代表していくんじゃないだろうか。
まぁ、アコギでスライドバーを使って、強烈なエフェクト並みの音を作り出し、肉体と感性がいつもギリギリでせめぎ合うような演奏を聴かせるバンドだからこそ、本当はごく当たり前に誰もが思う問題意識が素っ裸にされるんだろうなと思った。
太陽へのラヴソングとも言えるシアターブルックの曲の数々のおかげか、ちょっとだけ雲が薄くなってきた。