ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA (feat. 泉谷しげる,仲井戸”CHABO”麗市,吉川晃司,トータス松本)
最強の苗場「ご当地バンド」、大いに歌う
今年も苗場だけのスペシャルバンドが、フジロックの幕開けをド派手に飾る! 池畑潤二(Dr)を筆頭に、松田文(Gt)、井上富雄(Ba)、花田裕之(Gt)、ヤマジカズヒデ(Gt)、梅津和時(A.Sax)、田中邦和(T.Sax)、タブゾンビ(Tp)、青木ケイタ(B.Sax)、細海魚(Key)、丈青(Pf,Key)、スティーヴエトウ(Per)と、コーラスのMIKUNI♡DOLLSの3人、そしてMCのクリス・ペプラーを加えた総勢16名の御一行がグリーン・ステージに登場すると、フィールドからは怒号のような大歓声が上がる。この瞬間を一年間、みんな本当に待っていたのだ。
最初にステージに登場したゲストは、トータス松本。「エブリバディ、フジロック!」と呼びかけ、”Long Tall Sally”でライブをスタートすると、特有の温かく芯の強い歌声が、曇り空の苗場を心地よく揺らしていく。「もう一曲、歌います!」と披露したのは、ウルフルズの必殺ナンバー”ガッツだぜ!!”だ。グリーン・ステージ中で拳が上がり、大合唱が巻き起こる。フジロッカーにガッツを注入するようなパワフルなパフォーマンスがフィールドいっぱいに歓喜を広げ、オーディエンスはハンドクラップしながら大合唱。楽しそうにフィールドを見回しながら歌うトータスの笑顔がとてもまぶしく感じた。
続く吉川晃司は、ステージに出てくるなりその色気ムンムンの存在感で苗場を魅了する。ツイストを踏みながらエルヴィス・プレスリーの”Hound Dog”を歌うと、MCは「ごきげんよう」のひと言。そしてキャロルの”ファンキー・モンキー・ベイビー”で沸かせると、イントロで大歓声が起こったのは無敵のキラーチューン”Be My Baby”! 苗場中に「Be My Baby〜」の大合唱がこだまする。ステージではキメッキメのパフォーマンスをクールに繰り広げつつ、熱狂するオーディエンスの姿に思わず顔がちょっとニヤけてしまっていた吉川晃司なのであった。
MIKUNI♡DOLLSがキュートに歌い上げたザ・ピーナッツの”ふりむかないで”に続いては、泉谷しげるがずいぶんと不機嫌そうにオンステージ。顔をしかめて「若い奴らよ、戦争に行くんじゃねえぞ。俺たちは、音楽で強行採決だ、オラァ!」と一喝すると、ギターをかき鳴らしながら、鬼の形相で”国旗はためく下に”を歌う。空を睨みつけながら歌う泉谷の姿に、音楽で伝えようとする熱い気持ちがヒリヒリと伝わってきた。「朝から歌わせやがって、ふざけるんじゃねえ。二度と来ねえからな」と憎まれ口を叩きながら、ロックアレンジの”春夏秋冬”へ。「せめて今日だけは、自分の今日にしろ。自分だけの今日にしろ。明日はもっと晴れる。だから、小さくそっと歌え」と語ると、オーディエンスはみんな“小さくそっと”大合唱。泉谷しげるの強烈な個性をそのまま音楽にしてしまったような鮮烈なライブだった。
「フジロックベイベー、ようこそ!」と登場したのは、仲井戸”CHABO”麗市だ。「みんな一年ぶり! 元気で会えて嬉しいね。今年は泉谷が出るから、来るの止めようと思ったんだけど(笑)」とオーディエンスを笑わせつつ、”Woodstock”へ。間奏では花田裕之とのギターの掛け合いでオーディエンスを大いに沸かせる。さらにステージにトータス松本、吉川晃司、泉谷しげるとクリス・ペプラーまで揃って、全員でRCサクセションの”サマータイム・ブルース”を披露。途中、なぜか泉谷さんは花道で腕立て伏せをはじめ、乱入したうじきつよしも吉川晃司も並んで腕立て伏せをするという謎の一幕も。吉川はさらに、MIKUNI♡DOLLSと揃いの振り付けを踊るというおちゃめさんぶりも見せる。その間、泉谷とトータスは小競り合いをはじめ、てんやわんやで大団円に至る。とにかく彼らの一挙手一投足がグリーン・ステージ中を魅了したステージ。フジロックの始まりを祝福するような痛快なパフォーマンスに、オーディエンスも最高の笑顔と歓声で応えていた。