THE DISTRICTS
拍手が鳴り止まないほどの素晴らしいステージ
太陽は出ていないけれど、じんわり蒸し暑くなってきた午後の苗場。屋根があるため外よりは少しだけ冷んやりしているレッドマーキーでは、椅子に座って休む人たちも多い。これから登場するのは、前夜祭でも堂々としたステージを見せてくれたザ・ディストリクツ。アメリカ、フィラデルフィア出身のニューカマーだ。
定刻にバンドが登場し、ボーカルのロブが日本語で「ヨロシク」と挨拶すると、レッドマーキーは歓声に包まれた。チェックシャツにキャップをかぶったロブが頭を激しく振りながら歌うものだから、すぐにキャップがどこかに行ってしまった。ルーズ感のあるロックンロール。観客たちは体を横に揺らしながら、聴き入っている。体をスウィングさせるリズムの“Rocking Chair”や、ハーモニカがキュンとくるメロディーを奏でる“Funeral Beds”、ヒット曲“4th And Roebling”など、アメリカの大地を思わせるようなヴィンテージ感のあるロックを、ディストーションをかけたギターで聴かせる。後半に入ると、ギター音を歪ませ、激しくジャムして次から次へと曲をつなげていった。演奏のクオリティの高さはさることながら、全身全霊で演奏している彼らのエネルギーが観客を圧倒する。まだ若いながらも、ライブの盛り上げ方をよく分かっている。本当にいいバンドが出てきたなぁと感じた。
自然と手拍子が始まるシーンも多く、ロブが前方のスピーカーの上に立ったり、転がったりすると大歓声が上がった。全10曲のステージが終了したときには、ライブが始まったときの何倍にも膨れ上がった観客からの拍手が鳴り止まなかった。それこそが、ザ・ディストリクツが素晴らしいライブを魅せたことの何よりの証だ。今年デビューアルバムを出したばかりのザ・ディストリクツ。今年のベストアクト候補に挙げたいライブだった。