THE MAN
粋な男たちによる、粋なスカに酔いしれろ!
もうじき日付が26日に変わろうかという時間帯。苗場食堂一帯はものすごく賑やかだ。先ほどのミューズのライヴについて熱く語る音楽ファンたち、まだまだ遊び足りない夜型パーティー・ピープルに、酔っ払ってグロッキーなオッサンなどなど。これぞ苗場!って光景。誰もが笑顔でものすごく幸せそうなのだ。
元東京スカパラダイスオーケストラの冷牟田竜之率いるザ・マンが苗場食堂の特設ステージに登場だ!昨年は最終日のホワイト・ステージのトップバッターを務め、熱いステージを繰り広げてくれた。彼らを一目見ようとスカファンが続々とステージ前に集結してくる。
開演時刻丁度に、ステージ脇にある演目がめくられ、「ザ・マン」の字がバーンと現れるとフロアに大歓声が巻き起こる。全身黒一色でタイトにきめたザ・マンが登場した。いつ見てもクールな出で立ち。音楽だけでなく、ライフスタイルを通し、全身で”オーセンティック・スカ”を体現しているバンドだ。
冷牟田のアジテートを皮切りに、青木ケイタのバリトンサックスがいなたく響き、グルーヴィーなセッションでキックオフ!セッションが終わると、ハンドクラップを促して、”Let me burn”へとなだれ込むのだ。軽快なスカのバックビートに、フロアは自分なりのダンスを満面の笑顔で披露している。飯川賢がステージ前方に出てきて、トランペットをこれでも吹き荒らし、トロンボーンの寺谷光はフロアに飛び込み、高らかに音を出力してガンガンに熱を上げる。苗食一帯は一瞬にしてスカ天国と化す。
「今日は雨も降らずに、すごく良いコンディションでいられて嬉しいです。こんな夜だから…爆発しよう!」と冷牟田。矢継早に最上のスカ・ビートを繰り出してくる。やっぱり、スカとフジロックはベストマッチだ。スカを聴かずして帰れるかっての!
“Good Gravy”や、”Ghost Dog”と質感の異なる楽曲で緩急をつけながら、お客さんを気持ち良くのせていく。映画『Pulp Fiction』のオープニング曲で有名なDick Dale & His Del-Tonesの”Misirlou(ミザルー)”のスカ仕込みのカバーを披露しフロアを沸騰させ、そのままロッキン・スカ”GABBA GABBA HEY”を投下した。AC/DCなロケンローと、ラモーンズな疾走感を燃料にしてザ・マン十八番のスカビートが暴れ回るこの曲。盛り上がらないわけがない!フロアにスカダンスの嵐が吹き荒れ、「Oi! Oi!」コールが巻き起こる。冷牟田の前言通りにフロアを爆発させたのだ。
ザ・マンの今夜のショウを観て、スカは、いや音楽は今この一瞬を楽しむためのものだとあらためて気づかされた。フジロックも残すところ1日のみ。思いっきり楽しんで行こう!