TODD RUNDGREN
67歳、バリバリ踊ります!
まずは、開演予定時刻2~3分前にDJが登場し煽りはじめ、ヒップホップをかけて自らも歌う。そして、トッド・ラングレン大先生が、女性ダンサー2人引き連れて現れる。メンバーはそれだけ、バンドじゃないもん! トッド先生のカラオケ大会だった。それでも1曲目はギターを手にして弾きながら「Evrybody」。「エビバディ、クラップヤ、ハンズ!」と手拍子を求めるトッド先生に応えてPAくらいから先を埋めたお客さんたちは手拍子をおこなう。
続く2曲目「Flesh & Blood」からギターを置いて、マイクスタンドをつかんでの熱唱、そしてEDMに合わせてダンスをする。恐るべき67歳。この年にして、過去の栄光を脇に置いて新しいことに邁進する姿をみせつけた小1時間だった。軽やかな足のステップ、腕を上げればきちんと処理された腋がスクリーンに映る。思えば、20年位前のロッキング・オンでは、トッド先生が新譜を出すたびに「ご乱心」とか書かれたものである。そうして鍛えられたファンたちは、こんなことでは動じないのだ……いや、動じはしないけど、ダンサーに合わせて踊るトッド先生に笑ってしまうのだ。
基本的に新譜『GLOBAL』と、ひとつ前のアルバム『STATE』からの曲が中心で、EDM路線になっていてそれに沿ったライヴであった。ヒップホップみたいな「Earth Mother」や、スピード感ある「Party Liquor」でゴリゴリのEDMで攻めるかと思えば、「Blind」のようにお得意のバラードで聴かせる場面を作り出す。
自身のバンド、ユートピアで作った「One World」をエレポップヴァージョンに改造しいていた。そして新譜から「Global Nation」でアゲていく。
トッド先生とダンサーは一旦ステージを去る。残ったDJが「メイクサムノーイズ!」と叫び、お客さんたちを煽って、再びトッド先生とダンサーがステージへ。「International Feel」を始める。1973年に発表された名盤『Wizard a True Star』のオープニングを飾る曲、間をあけずに続いて、『Wizard a True Star』の最後の曲である「Just One Victory」で締めくくる。グローバル化する世界の諸問題を扱った新しいアルバム『GLOBAL』でみせた問題意識は、1973年に出たアルバムとつながっているのだよということを訴えた構成だった。単に姉ちゃんと一緒にダンスしていたわけじゃない。そう見えたとしても。
しかし、単純に67で新しいことに挑戦する姿はすごいと思う。戸惑い、笑いなどの反応は、百戦錬磨のトッド先生ならすべてわかっていくはずだから。ただ、他の国でやっていた名曲メドレーがカットされて聴けなかったのが心残りではある。
トッド先生にもフジロックは気に入ってもらえたようだし、次もあると期待したい。朝霧でロバート・ジョンソンのカヴァー、次に出たフジロックでは普通に名曲をやる(大名演)、そして今回はEDMと来たら、次のフジか朝霧では普通のが観られるわけじゃん!そのときには今回「も」やらなかった「Hello It’s Me」が聴けることを期待しよう。