椎名林檎
グリーンを魅了した妖艶なステージ
グリーン・ステージいっぱいに集まったオーディエンスが色めき立って待つ17時20分。先に登場した総勢9名のバックバンドのメンバーは、全員真っ白な衣装に見を包んでいる。大歓声を一身に浴びながら姿を現わした椎名林檎も、同じく真っ白なワンピース姿。真っ白な傘を差し、優雅にステージへと歩いてくる。太陽が灼熱の日差しを降り注ぎ続けた今日にあって、このステージだけは時空が違っているかのようだ。
ライヴは英語版の”丸の内サディスティック”からスタート。艶っぽい歌声を響かせてオーディエンスを魅了すると、続く”静かなる逆襲”はドスのきいた凄みのあるヴォーカルを見せる。イントロから大歓声が巻き起こった”罪と罰”では、体を屈めながら振り絞るようにして熱唱。ライヴ前半はジャズボーカルとしての椎名林檎を強調するようなパフォーマンスとサウンドだった。
ヒイズミマサユ機によるピアノの伴奏にのせてしっとりと歌った”幸先坂”、名越由貴夫のギターが炸裂する”NIPPON”、ボコーダーのようなエフェクトがかかった歌声を響かせた”長く短い祭”と、ライヴ後半も豪華バックバンドと共に一癖も二癖もある世界観を描いていく。その”長く短い祭”ではさらにワンピースを一瞬でパッと脱ぎ捨て、セクシーなレオタード姿をご披露するという大サービスでオーディエンスを沸かせた。
SOIL &“PIMP”SESSIONSと共作したナンバー”殺し屋危機一髪”を歌い終えると、「苗場にお集まりの皆様、お目にかかれて光栄です。こんにちは」と初めてのMC。「トッド・ラングレンはご覧になりましたか?」とニッコリ笑顔を見せつつ、「皆様、楽しんでまいりましょう。夜はまだまだこれからです」とラストに歌ったのは、”カリソメ乙女”だ。豪華バンドによるラグジュアリーなサウンドをバックに、シンガーとしての魅力をまざまざと見せつけた椎名林檎。歌い終えてマイクを持ったままステージを去っていくと、グリーン・ステージからは大きな拍手と歓声が彼女に送られた。