”LEGENDS OF BLUES” A Tribute to Howlin’ Wolf featuring HENRY GRAY & EDDIE SHAW
巨匠二人が放ついぶし銀のブルーズ!
定刻にプレゼンターがバンドメンバーを紹介してステージに呼び込む。ヘンリー・グレイが杖をつきながら登場し、キーボードの席に着く。そして、エディ・ショウが貫禄を漂わせつつ、ゆったりと姿を見せた。
出だしのセッションからサックスを吹きまくるエディ。そのままヘンリーのキーボードパートへと引き継ぐのだ。ヘンリーがソロをかましている間、椅子に腰掛けるエディ爺さん。シュン・キクタによるテレキャスのいなたいフレーズも飛び出し、ドラムのデリック・マーティンがスティックを回転させるパフォーマンスを交えながらリズミカルにビートを叩き出す。デリック、昨年のシル・ジョンスンとボビー・ラッシュのステージにも参加してたな。曲のしめで、毎回宙に飛び上がるパフォーマンスを見て思い出したよ。百戦錬磨の猛者たちが生み出すグルーヴには、スキル云々ではなく圧倒的な凄みがある。
シュン・キクタの奏でる巧みなギターにエディも満足げだ。フェルトン・クルーズがファンキーに奏でる6弦ベースも腹に、腰に、ビンビン響き、古風なブルーズに花を添える。そして、ローリング・ストーンズもカバーしたウィリー・ディクスンのペンによる”Little Red Rooster”を投下。出だしのフレーズだけでフロアから大歓声があがる。ヘンリーの鍵盤を軽快に流れる音が、心地よく鼓膜を響かせるのだ。
ここであらためてエディが40年来の友人、ヘンリーを紹介する。お互い長年に渡ってハウリン・ウルフのバックを務めたんだよなと。続けてベーシストのフェルトンを紹介しようと話を進めると、ヘンリーが鍵盤を叩きまくってそれを邪魔をした。エディが手をふりかざし「お前、ちょっと引っ込んでろよ!」てな感じでヘンリーを制止する。すると、音を弱めて、愛らしくしょぼくれるヘンリー。フロアに大きな笑いが生まれる。
矢継早に繰り出される”Shake For Me”や”Moanin’ At Midnight”といったハウリン・クラシックス。エディがハーモニカでいなたいフレーズを聴かせ、エディとヘンリーは二人で仲良くボーカルの掛け合いを行う。シュン・キクタがキレッキレのギター・ソロを披露すると、前でやれよと促すエディ。若手にもリスペクトを示す様に目頭が熱くなる。
“Sweet Home Chicgo”で、フロアのみんなと「Hey! Hey! Blues are alright!!」と楽しすぎるコール&レスポンスを繰り広げ、「Come on rock me all night long!」などとシジイ二人がニヤニヤしながらエロいことを歌い合うのだ。巨匠のかけらも感じられない。でもね、二人とも何とも良い笑顔を浮かべるのだ。深い笑顔にここまで生き抜いてきた彼らの生き様があらわれている気がする。ほんと、あんなジジイになりたいもんだね。これでもかとグルーヴ汁を出し切って、レジェンズの二人とバンドがステージを後にした。
彼らは7月28日(火)にブルーノート東京に出演予定だ。今夜のステージを観逃したそこのあなた!ぜひ彼らの生き様を感じさせるいぶし銀のブルーズを体感してほしい!!