女王蜂
キョンシー女王蜂がマーキーに降臨!
電撃ネットワークがパフォーマンスを終えた直後のレッドマーキー、23:45。散らかったステージを片付け、セッティングが進行している間に、ステージ前では客の総入れ替えが起こっていた。大勢の女子たちが前方へぎゅうぎゅうとつめよる。そう、すべては女王蜂を、アヴちゃんを間近で見るためだ。
女王蜂は、カリスマシンガー・アヴちゃん率いる4人組のロックバンド。約1年近くの活動休止期間を経て、2014年、完全体となって再始動した。今年に入ってから4thアルバム『奇麗』、EP『失神』をリリースし、ノリに乗っている女王蜂が、2010年のルーキーアゴーゴー以来フジロックに出演する。サンボマスターやアジカンなど、ルーキー出場後にメジャーな活躍をするようになるバンドは多いが、女王蜂もまさにそんなバンドの一つとなった。
定刻に遅れること約3分。暗転したステージにストリングスと鳥の鳴き声が響くイントロが流れ出した。ステージ左手から、キョンシーのように両手を前に突き出したメンバーが登場し、会場が大歓声に包まれる。一人ひとり真ん中でぺこりとお辞儀すると、それぞれの持ち位置につき、演奏を始めた。そこへアヴちゃんが登場。極短スカートで美脚を見せつける。すべて自作しているという衣装は、メンバーそれぞれ形が違うが、黒で統一されており、両肩の部分に黄色いお札が貼ってあった。先日公開されたばかりの新曲“スリラ”のMVと同じイメージで、顔も白塗りしている。本当にオリジナリティあふれるバンドだなぁと思うと同時に、身体の内側からゾクゾクしてきた。荒削りで激しいグラムロックを奏でるやしちゃん、ルリちゃん、ひばりくんの演奏に、女声と男声を自在に切り替えるアヴちゃんのボーカルが絡む。疾走感のあるビートに激しく踊る観客の中には、女王蜂のライヴでは恒例のジュリ扇を振る人もちらほら。
「私たち、5年ぶりなんです。ルーキー出身です!」と話すと、大きな拍手が上がった。「このステージで、キョンシー女王蜂できてよかったです。白塗りもしたので、皮膚呼吸との戦いですが」と観客を湧かす。この存在感、独特のセンス、美脚。熱狂的なフォロワーが続出するのも無理はない。ドラマ「怪奇恋愛作戦」のテーマソングとなった“ヴィーナス”、中毒性のあるメロディーラインの新曲“スリラ”、高音と低音を切り替えながら歌う“売旬”、映画『モテキ』のメインテーマに抜擢された“デスコ”を怒涛のようにプレイした後半。“デスコ”では中央にモッシュが発生するほど、レッドマーキー最後の夜を頂点まで盛り上げた。
「次で最後の曲です。踊り狂って帰ってくださいね」と言ってから演奏したのは“イミテヰション”だった。ハイテンションなパフォーマンスで、超満員のレッドマーキーを踊り狂わせ、魅了した女王蜂。次に何を仕掛けてくるか分からない、この唯一無二の世界観が中毒性を生むのだ。きっとこれから邦楽ロックシーンを引っ張っていくバンドの一つになるだろう。次回はぜひホワイトで見たい!