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FUJIROCK EXPRESS 2018

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LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 FRI

YEARS & YEARS

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© Photo by MITCH IKEDA© Text by イケダノブユキ

Posted on 2018.7.28 04:47

誘惑するオリー

このステージを観て思いだしたのは、去年のフジロック、グリーンステージで素晴らしいライヴをおこなったLORDEだった。どちらもエレクトロな音作りに生のドラムを加えたダンス仕様のサウンド、スクリーンに映しだされる映像まで自身の美学を隅々までいき渡らせたステージが共通するものだと感じた。

ただ、LORDEの美学がともすれば自分みたいな人は入り込めず距離のようなものを感じさせる(ゆえに素晴らしかったのだけど)のに対し、YEARS&YEARSはやたらフレンドリーで観る者を誘惑するようで、お客さんひとりひとりにグイグイ迫ってくるような感じがしたのだ。LORDEはごみひとつ落とすことを許さない学級委員に対して、YEARS&YEARSのオリーはニコニコしながら一緒にごみを片付けようと話しかける清掃係という感じか。

ステージ下手には、ベースやシンセサイザーを担当するマイキー、上手にはシンセサイザーやエレクトリックドラムを担当するエムレ、ステージ奥にはサポートのドラマー。コーラスに大柄でぴったりした服を着た髭面の人、クールビューティーなドレスを纏った人の2人がいる。

そして”Intoro”から”Sanctify”でライヴが始まった。ヴォーカルのオリーはお腹がでそうなタンクトップ着て元気に歌い踊る。整った顔立ちににっこり笑顔。自分の周りからは「かわいい~」という声が相次いだ。

全身で歌って踊るけど、必死な感じがなく、あくまでも軽快に楽しんでやっているのが伝わる。その一挙手一投足がユーモラスでもあり、笑いながらオリーの魅力にやられてしまうのだ。

演奏陣からは太いビートが放たれたり、”If You’re Over Me”のようにピコピコしたハッピーな曲もある。全体的にはエレクトロと人力が上手く融合した今どきのサウンドである。そしてオリーのヴォーカルが何よりも際立つような曲作りにアレンジになっている。配信の音源を聴くよりも何倍も立体的になって心に迫ってくる。こんなに曲がよかったんだ! と認識が改まる。また、お客さんを手中に収め、盛り上がらせるパフォーマーの才能は十分に感じられた。

スクリーンに映しだされる映像は抽象的なイメージや月、なんかの映画の場面とか、ステージ上の様子など様々だけど、例えば、ステージ上の様子にしても白黒にしたりなんかの文字をテロップのようにしてだしたり、彼らのセンスが感じられた。ずっとアゲさせられたのだけど、特に後半のアゲの連打はすさまじく”Hallelujah”、”Real”、”All For You”、”King”と続くとお客さんたちも腕を挙げ手拍子して踊りまくっていた。

それは観る者たちを祝福し、みんなそれぞれに楽しく生きていいんだよということを体をもって示してくれたオリーやバンドのメンバーたちにお客さんたちがその思いを精一杯返した光景だったのだ。

[写真:全10枚]

#TAGS : 7/27 FRIGREEN STAGE

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