毎年恒例になったルート17ロックンロール・オーケストラ。Bobby Darinの “Mack the Knife”が流れて大所帯のバンド、そしてクリス・ペプラーが登場する。

ドラマー池畑潤二をバンマスに凄腕のミュージシャンを集めたバンドはゲストヴォーカルを迎えてロックンロールなショーを繰り広げる。

まずはトータス松本を迎えてエルモア・ジェイムス“One Way Out”。トータスはハーモニカを吹くブルージーな曲である。続いてFine Young Cannibalsの“Johnny Come Home”だった。このバンドおよびトータス松本の傾向からして60年代か70年代のソウル/ファンクの曲かと思ったら1985年に発表されたニューウェーヴの曲だった。ファンキーでかっこいい。そして自身の曲でウルフルズ“笑えれば”。スローダウンしてみんなを和ませて奥田民生と交代する。

民生はJohnny Kidd & the Piratesの“Shakin’ All Over”そしてEddie Cochranの“Somethin’ Else”と古いロックンロールを歌う。「ハードルが高い曲」と民生がいってから、イントロが流れるとそれだけで察知した人もいて歓声が上がる。RCサクセションの“スローバラード”だ。サックスの梅津和時がソロのときにステージ前にでてきて民生と絡んでいく。果敢に挑戦する民生にグリーンステージのお客さんたちは歓迎しているように思えた。そのよい雰囲気のまま甲本ヒロトに代わる。

ヨタヨタとステージに入ってきて、まず歌うはボブ・ディランの“Don’t Think Twice It’s All Right”、続いてニール・ヤング“Don’t Cry No Tears”を歌う。細身の体から放たれるパワーは底知れぬ。聴くものを元気づける。

最後のゲストは、お馴染み仲井戸”チャボ”麗市。ボブ・ディランの“Hurricane”を歌うが、これが日本語ヴァージョンであった。元々、殺人の冤罪で投獄されたボクサー、ルービン・ハリケーン・カーターについて歌った歌だけど、これを「アメリカの話だけど、日本でもあるじゃないか」と狭山事件や足利事件などの名前を挙げていく。ここまで社会に対峙している歌と演奏もこのステージではなかったんではないか。清志郎イズムを受け継ぐ。そして「Yeah!FUJI ROCK」でさらに清志郎を想う心が伝わる。

最後は、この日のヴォーカリスト全員が揃ってエディ・コクラン“C’mon Everybody”｡ヒロトが「山の天気は変わりやすい」とか替え歌にして喝采を浴びていた。楽しく締めくくったのだった。