LIVE REPORTGREEN STAGE7/27 FRI
GLIM SPANKY
© Photo by MITCH IKEDA© Text by 若林修平
Posted on 2018.7.31 06:43
自分たちの信念を貫くこと
GLIM SPANKY、2015年のフジロック、レッド・マーキー登場以来、2度目のフジロック出演にしてグリーン・ステージ初登場である。しかも、先日行われた初の日本武道館公演も成功に導き、彼女たちの勢いは留まることを知らない。この日のステージは、彼女たちの現在地点を見るのに絶好の機会だ。
骨太なギターのフレーズが印象的な”愚か者たち”で彼女たちのステージはスタートした。初期GRAPEVINEを彷彿とさせる骨太でブルージーなロック・チューンがグリーン・ステージに響き渡る。続いては、トライバル・ビートな変則ロック・チューン”END ROLL”。さらにはThe Beatlesを彷彿とさせるサイケデリック・ロックな”BIZARRE CARNIVAL”と、彼女たちがフェイバリットに上げる数々のバンドが感じられる曲が続くが、それらは決してただのオマージュにはなっていない。彼女たちがこれまで通ってきたあらゆる音楽と、それらをしっかりと咀嚼し自分たちの音楽に落とし込んだ、まごうことなき”オンリーワン”なサウンドだ。
中盤には先日ライブで公開されたばかりの新曲”ハートが冷める前に”を披露。さらには、”いざメキシコへ”、”怒りをくれよ”とライブで定番のヘヴィ・ロック・チューンが続き、”The Flower”、”In the air”のサイケデリックな雰囲気に呼応するかのようなバックスクリーンに流れる映像も最高にかっこいい。そして”美しい棘”をプレイし終え、松尾が改めてマイクを取る。
「グリーンステージ、めっちゃ気持ちいい。GLIM SPANKYのライブはみんな自由に楽しんでもらいたくて。ロックってそういうものだと思っていて、手を上げたい人は上げればいいし、寝て聴きたい人は寝て聴けばいいし、お酒飲んで聴きたい人はそうすればいいし、そういう自由の場所を私たちはロックの空間だと思っていて、みんなそういうノリ方を個人個人でしているのが、見ていてとても気持ちがいいし、本当にここはウッド・ストックのような丘が広がっているようで。今日はそんな気分の最高なライヴになりました。ありがとうございます。」
こんなにもピュアに自分たちの”ロックの定義”と”ロックに対する信念”を持ち、自分たちの曲にライブ空間に想いを込めることができるバンドはなかなかいない。松尾レミ(Vo./G.)が26歳で亀本寛貴(Vo./Co.)が27歳。彼女たちはピュアにロックを追い求めていたデビュー前のことを今も忘れていないのだろう。”大人になったら”、松尾がまだ大学生の頃に味わった苦い体験と、大人になっても目が輝かせながら何かに向かっているそんな人たちとの出会いから生まれたこの曲が、フジロックのセットリストの肝の位置に添えられた。そんな彼女たちの想いに、「初心忘れるべからず」ではないが、ロック好きの自分にとってはグッとくるものがあった。
今日のライブを見て、「彼女たちには、これからも彼女たちの信じるロック道を邁進してほしい!」「そして僕らは音楽ファンとしてその姿を追っかけていきたい!」そう純粋に思えた最高のロック・バンドによる最高なステージだった。
<セットリスト>
愚か者たち
END ROLL
BIZARRE CARNIVAL
The Trip
ハートが冷める前に(新曲)
いざメキシコへ
怒りをくれよ
The Flowers
In the air
美しい棘
大人になったら
アイスタンドアローン
[写真:全10枚]