LIVE REPORTWHITE STAGE7/27 FRI
My Hair is Bad
エモい夏を、ありがとう
開演10分前。心地よい風が吹き、優しい綿雲が真っ青な空にふわふわと流れ、オーディエンスはリラックスモード。My Hair is Badのメンバーがふらっと現れ、肩慣らしがてらリハーサルを始める。あまり緊張していない様子。というか、むしろオーディエンスと同じくらいリラックスしているようだ。今年3月に武道館という大舞台を経験し、気持ちに余裕がでてきたのかもしれない。
彼らはここ苗場と同じ新潟県出身(上越市)で、2013年のルーキー・ア・ゴー・ゴーでフジロックデビューを飾っている。13:10、リハーサルを終え、椎木知仁(Vo, G)、山本大樹(B)、山田淳(Dr)、がさっきまでのゆったりモードをがらりと変えた。「セイッ!」と揃って気合を入れ、「地元新潟上越よろしく!やっと来れたぜ、フジロック!」とあいさつし、“アフターアワー”からライブがスタートした。
地元でもある新潟のフジロックのステージに立つのが夢だったのだろう。椎木が生まれてから、ホワイトステージに立つまでのストーリーを語り「もう5年、まだ5年」と言い、「ドラマみたいだ」へつなぐ。「ビールをここにいるみんなにおごりたい!俺を見かけたらおごりますんで声かけてください(笑)。死ぬほどお金おろしてきましたんで!」と喜びが止まらない。続いて「ブラジャーのホックを外す時だけ」の歌いだしが印象的な「真赤」。椎木が飛び跳ね歌う。夏に聴くと本当に「夏の匂いがした」気がして、ちょっと切なくなる。周りを見渡してみたら、偶然隣にいたカップルがキスをしていた。
「ディアウェンディ」では、椎木がギターをかき鳴らしステージに倒れこむ。山田のドラムも合わせるように力強いビートを刻み、山本のベースもグングンうなる。「フロムナウオン」前の椎木の弾き語りが今日の白眉かのように見えた。が、5年前のルーキー・ア・ゴー・ゴー出演時、1曲目に演奏した「最近のこと」が何よりも一番の演奏だった。今までの疾走感のあるナンバーが、ゆるやかなナンバーに変わり、空気を一変させた。オーディエンスは立ち尽くして椎木の歌を聴き入っている。通路をただ歩いていた人も、歩みを止めてステージを見入っていた。彼らのエモさの真骨頂はここにあるのだ。
「ありがとう、ありがとう!うれしくて、うれしい!新潟のバンドのことも、よろしくお願いします!」と椎木は心からうれしそうにオーディエンスに語りかけ、「夏が過ぎてく」で完全燃焼、Tシャツを汗でびしょびしょにしながらステージから去っていった。オーディエンスも去った後のホワイトステージには、再び心地よい風が吹いていた。
<セットリスト>
アフターアワー
熱狂を終え
ドラマみたいだ
真赤
クリサンセマム
ディアウェンディ
フロムナウオン
最近のこと
優しさの行方ビ
夏が過ぎてく
エゴイスト
[写真:全10枚]