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FUJIROCK EXPRESS 2018

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LIVE REPORTWHITE STAGE7/29 SUN

cero

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© Photo by 古川喜隆© Text by 梶原綾乃

Posted on 2018.7.29 21:48

向かうところ、敵なし!

前回のフジロックでの彼らのことは、とても印象に残っている。ブラックミュージックの要素を取り入れた『Obscure Ride』という大名作が生まれた直後だったこと。演奏の完成度は高く、シンガーとしての髙城 晶平に伸びしろを感じていたこと。そんな彼らが3年ぶりに、また一段とビックになって戻ってきた。それも、髙城 晶平のポテンシャルをフルに開花させた状態で、だ。3年前では観られなかったceroの到達点が、今ここにある。

前回の真っ昼間とはうってかわって夜のホワイトステージ。新編成のceroは、高城晶平(vo,g,fl)、荒内佑(key,cho)、橋本翼(gt)の3人と、サポート厚海義朗(ba)、光永渉(dr)、古川麦(cho,tp)、角銅真実(per,cho)、小田朋美(key,cho)の合計8人。1曲目“Summer Soul”で高らかにオーケストラの開始を宣言すると、続いて最新アルバム『POLY LIFE MULTI SOUL』でも鍵となっている”魚の骨 鳥の羽根”。6/8拍子から発展するエキゾチックなビートと、古川、角銅、小田を巻き込んだコーラスワークがアンサンブルしていく。高城は叫んだり、鳥の鳴き真似などを突発的に入れ、曲のエフェクトとして落とし込んでいく。
続いて“Yellow Magus”。わっと会場は湧き、発生したスモークが彼らを包んでいく。夜のceroは、チルな空気でとてもイイ。そして、以前の同曲とは比べものにならないくらいの「モノにした」感がある。それは“レテの子”でもハッキリと感じ取れていて、「笑って」という歌詞で笑ってみせたり、ブラックミュージックさながらのしゃがれ声を出すなど、歌の表情に合わせて変わる高城のフロウに、とてつもない進化を感じる。それでいて、飛んだりくるくる回ったりと、心から楽しめる余裕っぷりも感じられる。“Buzzle Bee Ride”が終わったあとは腕組みをして、右肩だけクイっとあげたヒップホップ的キメポーズでカメラ目線。茶目っ気たっぷりだ。後半は“Orphans”、“water”と苗場をメロウな空気に変換させ、現編成のひとつの完成形ともいえる“POLY LIFE MULTI SOUL”へ。音が消えた瞬間、スモークがふわっとオーディエンスに向かってくる様子は幻想的な一コマだった。

正直に言うと『POLY LIFE MULTI SOUL』が発表されたときは、より実験的になっていくサウンドに戸惑いを感じたこともあった。『Obscure Ride』のceroがどこかに行ってしまうようで名残惜しかったのかもしれない。しかし、ceroはやっぱりceroだった!自分たちのやりたいように、面白いようにサウンドを突き詰めながらも、わかりやすくて爽快で、気持ちいい。3年前のフジロックで見た良い部分も、これ以上に期待してた部分もすべて身にまとった髙城には今、不安も隙もなかった。

「最高に楽しかったです!いい思い出をありがとうございました!」とMCが入り、名残惜しくも“街の報せ”でフィナーレ。この先にグリーンステージが見える、素晴らしい時間だった。こちらこそ、いい思い出をありがとう。

[写真:全10枚]

#TAGS : 7/29 SUNWHITE STAGE