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FUJIROCK EXPRESS 2018

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LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN7/29 SUN

BEN HOWARD

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© Photo by 北村勇祐© Text by 三浦孝文

Posted on 2018.7.29 19:10

ヘブンに降り注ぐ粒度の高い音の雨

昼下がりのフィールド・オブ・ヘブン。先ほどまで降りしきっていた豪雨と打って変わって、ここは晴れ渡っている。今は晴れているというべきだろう。山だから天候が変わりやすい。苗場の天気はいつでも気まぐれだ。

これからヘブンに登場するのは、イギリスからやって来たシンガー・ソングライターのベン・ハワードだ。デビュー作からマーキュリー・プライズとアイヴァー・ノヴェロ賞にノミネートされるという才能の持ち主だ。今年リリースされたばかりの新譜『Noonday Dream』を引っ提げ、このフジロックのステージが初来日公演となる。

ステージには2ドラム、キーボード3台、ヴァイオリンにビオラ、ギターやアンプやらがゾロゾロと機材が所狭しと並んでいる。新譜の『Noonday Dream』がアコースティックな音色主体だった前二作からアンビエントでシューゲイザーな音に一変していたので、それを再現しようという意気込みが感じられる。

開演時刻を過ぎたが、機材トラブルが発生したのかだいぶ押している。約10分遅れでバンドメンバーがステージに姿を見せ、グラサンをかけてクールな雰囲気を醸し出しているベンがで登場し、横を向いて座ってマイクに向かってヴォコーダーがきいた柔らかな歌声で祈るように‟Towing the Line”を歌いはじめる。爪弾かれるアコギにギターがアームを駆使し浮遊するようなアンビエントな鳴りで絡み、会場が静謐な感動に包まれた。曲を終えるとベンがフロアに向かってウインクを飛ばし、上がった大歓声に応えた。

ベンを含めたアコギとエレキの総勢5名のギターアンサンブルから始まり、中盤に至るに連れて、2ドラムのぶっといビートが飛び、ギブソンレフリーレスポールが重厚に鳴り響く中盤が超絶かっこいい‟A Boat To an Island On the Wall”。ベンのバンドメンバーは楽器を何役もこなすミュージシャンシップが高い人ばかりだ。‟Nica Libres At Dusk”の間奏部、何とも気持ち良さそうな表情を浮かべる。サウスポー特製のギターを手に寡黙に演奏を続けていたベンだったが「最高の景色だね。マジカル!もっと早く来るべきだったよ」とコメント。笑顔の聴衆と広がる豊かな山々。気持ちが良いに決まっている。‟Someone In the Doorway”も色んな音が飛び交う。バンドが控えめな演奏しているからか、色んな音の粒子が心地よく耳に届くのだ。

ステージにベースと、ベンの二人だけになり、ベンの浮遊し流れるようにリフレインフレーズが印象的な‟Conrad”をじんわりと終えて、バンド全員がステージに戻り、‟Small Thing”で巧みなバンドとともに濃く、壮大なグルーヴを醸成して本セットを締めくくった。どの楽器の音もはっきりと聴き分けられるような、粒度がとても高く音の雨をヘブンに降らせた。「いや~、ジャック・ジョンソンを蹴ってこっちに来てよかった!」、「めちゃめちゃカッコよかった!」といったポジティブな感想があちこちから聞こえてきた。フジロックでの初公演は大成功と言って間違いないだろう。

[写真:全10枚]

#TAGS : 7/29 SUNFIELD OF HEAVEN