LIVE REPORT木道亭7/29 SUN
UPENDRA&FRIENDS
自然と調和する美しきネパールのフォーク・フュージョン
朝から強風が吹き荒れたかと思えば、ザーッと雨が降ったり太陽が照りつけたりと不安定な天気が続いた3日目のフジロック。夕方17:00にようやく天気が落ち着き、気持ちいい風が吹き抜ける木道亭は、湿った土や枯葉、木々の芳しい香りがした。林の中を通るボードウォークの途中、木々の間に設置された木道亭は、大自然に囲まれたフジロックの中で一番自然と一体化しているステージだ。こじんまりとした木製のステージに登場したのは、フジロック常連のネパール出身のキーボード奏者、ウペンドラ・ラル・シン率いるウペンドラ・アンド・フレンズ。5人編成で奏でるネパールのフォーク・フュージョンは自然に溶け込むように空間を満たしていく。
風のように自由なバンブーフルートの音色が美しくて、フジロック3日目の疲れた体に沁みた。ステージ中央でパーカッションと音響的なサウンドを奏でるメンバーの演奏も素晴らしく、見事な楽器さばきで風のさざめきのような音を演出していた。林の中の小さなステージだからこそ、ミュージシャンたちが奏でる音楽や美しいメロディーがここまで自然と調和するのだろう。それになんだかホッと癒されるのだ。ステージ前には数十人が椅子や丸太に腰を下ろして、気持ち良さそうに聴き入っていた。苗場に捧げた“wind of naeba”という美しい曲では、演奏に応えるかのように優しい風が吹き、なんだか小さな奇跡みたい。ラストには、「フジロックに捧げた新しい曲」と紹介し、全員がなんらかの打楽器に持ち替えてトライバルなリズムの曲を演奏し始めた。フェスらしい高揚感や喜びが表現されているようで嬉しくなる曲だ。演奏を終えたウペンドラたちは拍手のなか去っていったけれど、きっとまた苗場で会えるのだろう。まるで古い友人に再会するかのように、またフジロックに捧げた音楽を聴かせてほしい。
[写真:全8枚]