前夜祭最後となるライヴ・ステージは、なんと、MO’SOME TONEBENDER。ここ数年の彼らは活動をほぼ休止しており、昨年も2度ほど、今年は7/2が初めてのライヴとなっている。そんななかの前夜祭出演。発表はあまりにも突然で、多くのファンを驚かせ、SNSは賑わいを見せていた。おそらくオーディエンスの多くが、久々に彼らを観る。各々のフジロッカーの記憶にある「MO’SOME TONEBENDER」が蘇るとき、それが今なのだ。

定刻になり、照明が落ちると大歓声が沸き起こる。百々がギターを高く上げてオーディエンスにアピールし、武井靖典(bs)は、
「祭」と書かれた大きなうちわを持ち、4色の照明を備えた大きな翼を背負った姿で登場した。
背景の真っ黒なスクリーンに「MO’SOME TONEBENDER」の文字が浮かんだとき、
1曲目、ギャング・オブ・フォーの“TO HELL WITH POVERTY”のカヴァーでスタート。ギリギリとねじれるようなベースの音が繰り返され、武井のシャウトも炸裂し、早くも会場はとてつもない盛り上がりに。

「今日は前夜祭ですけど、明日以降も楽しんで帰ってください！」と、“Have you ever seen the Stars?”へ。百々のギターが力一杯かき鳴らされ、シャウトしたとき、ふたたび大歓声が沸き起こる。「第1回のフジロックをきっかけに、もう一度バンドをやろうと思って結成したのがモーサムです」という内容のMCを挟んで“GREEN & GOLD”では、セクシーでエキゾチックな百々のヴォーカル・アプローチに酔いしれた。

そして中盤、武井がなにか頭に乗せたのは、液晶パネルが設置されたヘルメット。流れていく文字を読むと…「今日のフジ占い　今年フジロックに参加できる人は最高です　このままぶっ飛んでいきましょう」とのこと。そこからフィナーレを飾る“BIG-S”は、彼らの言うとおり、まさに最高。それぞれを高め合うかのように音が積み重ねられ、グルーヴが作り上げられる。藤田勇(gt)がドラムまで駆け寄りシンバルを鳴らし、くねくねと踊る百々は楽しそうな様子。終わりが近づくと、そのままテンポダウンしていき、ドラム・ソロからフィナーレへ。会場に熱気を残したまま、あっという間に去っていってしまった。

相変わらずのストイックさと濃厚さをこれでもかと見せつけられた今回のステージ。MCでは彼らとフジロックを振り返るような一面もあり、モーサムの歴史にとっても、印象に残る日になったのではないか。そして、ほどよいユルさと演出が、前夜祭らしいお祭り感のあるステージだった。またいつか、本祭に出演してくれるのも期待している。