FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTGREEN STAGE7/26 FRI

THE CHEMICAL BROTHERS

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Photo by MITCH IKEDA Text by イケダノブユキ

Posted on 2019.7.27 08:15

ケミカルの底力をみせたステージ

今回のケミカル・ブラザーズは約1時間半の中に起伏あり、前後の曲に連関した繋がりありと巧みに構成されたものだった。

何度もフジロックに出ているので、「ケミカルってこんな感じでしょ」という先入観がお客さんたちの中にあるかもしれない。今回用意された映像や演出は、フジでは新しく披露されたものが主で、新鮮さを感じさせた。一方で、定番の曲を聴きたいというお客さんの希望も応える、というのを同時に達成したライブだったと思う。

ビートルズがオリジナルであり、それをカヴァーしたジュニア・パーカーが歌う“Tomorrow Never Knows”の「surrender to the void」という箇所がループされるのが定番のオープニングだ。それから“Go”でケミカルの音が始まった。スクリーンに映しだされるものは比較的実写が多く、人が何かのメイク、もしくはコスプレをして何か寓意的な――演技や踊り――人の動きが印象に残る。“Eve Of Destruction”では戦隊特撮モノのパロディがスクリーン映される。中盤の“Hold Tight Fujirock”では、グラストンバリーのときは“Hold Tight Glasto”と呼ばれるパートだったけど、ちゃんとフジロック仕様になっていた。

前半で特筆すべきところは、“Swoon”からリズムが“Star Guitar”のものに変化して、“Star Guitar”になるのかなと思いきや、リズムは“Star Guitar”のままで、バーナード・サムナーの声が聴こえてくる。ニューオーダーの“Temptation”だ。そして溜めに溜めて“Star Guitar”に入っていったときのグリーンステージを埋め尽くした2~3万人の歓声や揚げられた腕の多さは壮観だった。“Hey Boy, Hey Girl”での「Here we go!」の合唱もお約束だ。

スクリーン演出だけでなく、PAブースの前あたりで大量の紙吹雪が舞い、大量のボールが客席に投げ入れられ、巨大なロボットのおもちゃが2体ステージに現れたり次から次へといろんなものが現れる。

そして終盤にかけての定番曲の畳みかけ。“Dig Your Own Hole”から“Galvanize”、“Song To The Siren”、“C-H-E-M-I-C-A-L”、“Leave Home”ときて、最後は“Block Rockin’ Beats”で締めくくった。どれもシームレスでつながっていく。そしてスクリーンには「LOVE IS ALL」の文字が。近作から始まり初期に戻るキャリアを俯瞰した選曲であった。いろんなジャンルで呼びたくなるけど、ケミカル・ブラザーズはケミカル・ブラザーズであるという、ロックでもあり、テクノでもあり、サイケデリックでもあり、ヒップホップでもあるというケミカルの底力をみせてくれたのだ。

[写真:全10枚]

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7/26 FRIGREEN STAGE