LIVE REPORTWHITE STAGE7/27 SAT
AMERICAN FOOTBALL
エモ・シーンのレジェンドが苗場に降臨!
日が暮れて周辺の森は漆黒の闇に包まれ、昼間とはまた違った表情を見せるホワイトステージ。雨が、しとしとと地面を濡らす中、たくさんの人たちがステージ上を見つめていた。目線の先に彼らが思い描いていたのは、エモ・シーンのレジェンドと称されるアメリカ・イリノイ州出身のAMERICAN FOOTBALLだ。
1999年にセルフタイトルのデビューアルバムをリリースするも、わずかな活動期間で解散したAMERICAN FOOTBALL。だが、その魅力は世界中でじわりじわりと伝わっていき、ついにはポリヴァイナル・レコーズ史上最高のセールスを記録。待望の再結成を2014年に果たし、2016年には17年ぶりのアルバム(セカンド・アルバム)を、今年3月にはサード・アルバムを発表するなどめざましく活動している。
暗転したステージに“シルエット”のイントロが流れる。鉄琴の柔らかな音に合わせ、ステージ上に置かれた8機のスタンド照明が、一つひとつ、不規則な順番でチカチカと点灯する(1機につき2つのライトがついているので厳密には計16個のライト)。バンドの音が一斉に鳴り出したとき、ステージ上にメンバーたちのシルエットが浮かび上がった。なんとも粋な演出に、のっけから心をくすぐられる。変則的なリズムを支えるドラムにベース、透明感のあるメロディーを奏でるクリーントーンのギターや鉄琴に、繊細で美しいヴォーカルが重なる。なんとも心の落ち着く、幻想的な世界観が広がっていた。
光を反射してキラキラと輝く雨はまるで星のようで、音楽とともに優しく降り注ぐ。降りしきる雨さえも、彼らのステージに彩りを添える演出となってしまう。まあ、マイクの声がかき消されてしまうほどに、地面を叩きつける土砂降りの雨が降った時は、そんなことは言っていられなかったのだけれど…。だが、そんな悪天候の中でも微動だにせず、ステージを見つめるたくさんのオーディエンスたちの姿がそこにはあって、なんだかうるっときてしまった。
ラストに披露した“ネバー・メント”では、親交のある岸野一(malegoat/The Firewood Project)も参加してタンバリンを打ち鳴らす。メンバーと岸野が笑顔を交わす姿がなんとも微笑ましかった。
[写真:全10枚]