FUJIROCK EXPRESS '19

LIVE REPORTWHITE STAGE7/27 SAT

GEZAN

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Photo by 平川啓子 Text by 阿部仁知

Posted on 2019.7.27 14:47

この地に刻みつけた存在の証明

よくわからなくなってしまったというのが正直な気持ちだ。マヒトゥ・ザ・ピーポーの言葉を聞いてしまうと、あまりいい加減なことを書くわけにはいかない。
2日目のホワイトステージのトップバッターとして現れたGEZANは、あまりにも強烈に僕の胸に刻まれてしまった。そして、多分それはホワイトステージに集った人々も同じではないだろうか。

初っ端からモッシュピットを盛大に賑わせた“忘炎”。地鳴りのようなベースと空気をドライヴさせるギター、感情のまま叩きつけるようなドラムが織りなす轟音オルタナティヴロック。そこにマヒトの言葉が乗ることで、このバンドをGEZANたらしめている。マヒトは「持ってちゃいけない感情なんてない」と歌う。それは憎しみや恨みのような感情もそうなのだろうか。正解不正解ではっきり二分化される昨今の空気感の中で、この言葉はどれ程、慈しみ深く響いたことだろう。

“Wasted Youth”で更に前のめりに加速していくサウンドは、遅れて集まりだした人々を瞬時に捉えていく。一見無軌道な暴走のようにもみえる彼らの表現だが、そこにははっきりとした意志が感じられる。ベースのカルロス・尾崎がアンプの上でディジュリドゥ(アボリジニの伝統楽器)を吹き鳴らす“東京”でも、僕らの根本的な意識に疑問符が投げかけられる。「新しい時代には新しいレベルを」と語るマヒト。それは旧来の常識への反抗なのだろうか。言葉としての意味を超えたオルタナティヴの感覚が突き刺さってくる。

2012年のルーキーアゴーゴー以来のフジロック出演となるGEZAN。ギターのイーグル・タカは、その当時からホワイトステージでプレイするイメージができていたと語る。「ここに連れてきたのは自分たちの想像力」と語ったのはマヒト。所構わずコーラスの合唱が巻き起こり、モッシュにダイブにしっちゃかめっちゃかとなった“Absolutely Imagination”は、まさにそんな想像力の歌だ。例えばフジロックが始まったのもそんな想像力からなのだろうと思いを馳せる。

続く“BODY ODD”では、たくさんのゲストが入れ替わり立ち替わりする、圧巻のマイクリレーが行われる。Campanella、ENDONの那倉太一、THE NOVEMBERSの小林祐介、the hatchの山田みどり、DISCHARMING MANの蛯名啓太、そして鎮座DOPENESS。意味があるのは名前や所属ではない。彼ら一人一人の持つ個の力がGEZANと交わり新たな表現が生まれる、そんな瞬間に僕らは高揚していた。

そして、あっという間の最終曲“DNA”でマヒトは「僕らは幸せになってもいいんだよ」と歌う。彼の言葉は荒々しくも優しく、15000人とかそういう単位ではなく、僕ら一人一人に向けられているかのように胸に刺さってくる。閃光のように駆け抜けたステージを終えて、僕は泣き笑いのような、妙な感覚に陥っていた。

彼らの表現に触れると、誰もが自分のやっていることや置かれている状況について、深く考えさせられてしまう。それこそが、最後には後ろまで人々が詰め寄ったあの現場で起こっていたことなのだ。WE’RE GEZAN!と仕切りに表明していた彼らだが、その存在は苗場の地に深く刻まれたことだろう。

[写真:全10枚]

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7/27 SATWHITE STAGE