FUJIROCK EXPRESS '21

MOREFUNAREA REPORT8/20 FRI

私が見たフジロック(Day 1)from スタッフI

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Photo by 粂井 健太 Text by イケダノブユキ

Posted on 2021.8.21 08:10

答えはひとつでない

フジロック1日目、待ちに待ったフジロックが帰ってきた! という気持ちにはなれない。迷いに迷って、苗場に来た人も多いだろう。それはアーティストも同じだった。どうしても昨今の状況を踏まえたことを意識してしまう。アーティストもまた検査を受けて陽性反応がでた人は苗場の地を踏むことは叶わず、また自分の意思で出演を辞退したアーティストも多くでた。

まずは、感染を抑えつつ無事にフェスを全うすることが求められる。アーティストたちはそれぞれの答えを持ってステージに臨んだ。

自分が観たのは、OKAMOTO’S、ドレスコーズ(半分)、DYGL、くるり、THE BAWDIES(冒頭は観られず)、METAFIVE、RADWIMPSだった。

OKAMOTO’S の冒頭でギターが鳴った瞬間だけで涙ぐみそうになった。MCで不安な気持ちに寄り添うメッセージを発したドレスコーズの志磨遼平、盛り上がる曲を封印し、迷いの中にいる心情を不器用に吐露したDYGLの秋山信樹、現在の状況を踏まえ、前向きなメッセージを連発したRADWIMPSの野田洋次郎、と話すことはさまざま、方向も違うけど、どれも感じ入るところである。

逆にいつもはそれなりに長くMCをする、くるりの岸田繁は、この日は挨拶程度しか話さず、しかし異様な迫力で音に全てを語らせようとした。スクリーンに映る岸田の表情がとんでもない迫力だったのが印象深い。「ワンダーフォーゲル」とか「ロックンロール」とかの曲を封印し「Tokyo OP」のようなプログレッシブロックを堂々と演奏していた。METAFIVEはコロナ禍以前にメンバー4人が不在という「緊急事態のMETAFIVE」(by LEO今井)の中、LEO今井と砂原良徳がバンドを背負い、サポートミュージシャンの的確な仕事に支えられて素晴らしいステージをみせてくれた。LEO今井も先述の言葉を最後に発した以外は「サンキュー」程度でほとんど語らず、その分音に込めた思いを実感させるのであった。

声をださなきゃ何やってもいいだろ、と通常営業で底抜けに楽しいロックンロールショーを繰り広げたTHE BAWDIESもまたひとつのあり方だろう。このように向き合い方はさまざまで、正解はひとつでない(もちろん正解でない可能性もある)ことを実感する。

もちろんコロナに対することがフジロックの全てでない。METAFIVEの音質のよさはフジロック史上最高クラスで各楽器の分離のよさとクリアさ、迫力があるのに耳に優しい音量が素晴らしいステージを創り上げていた。またRADWIMPSはフジロック史上最高のレーザー光線が舞っていた。ステージと反対側の山にレーザーを照射することは今までもあったけど、左右にも照射されて350度くらいレーザーに囲まれたことは今までみたことなかった。また、ミュージックステーションの中継が入ったのも初めてだろう。菅田将暉のサプライズ登場で「苗場の奇跡」にまたひとつ加えられた。

お客さんたちも自分が見る限り、概ねマナーが守られていた。ただ、これは万単位で人がいる広いスペースの中でのごく一部であるのでなんともいえない。観たライヴだって、たくさんの中のごく一部なのだ。他にも素晴らしかったステージやそうでなかったステージもあっただろう。このサイトをみている人はそこを理解していただくと幸いである。

[写真:全1枚]

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