FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTGREEN STAGE8/22 SUN

秦 基博

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Photo by 安江正実 Text by イケダノブユキ

Posted on 2021.8.26 08:00

笑顔をあきらめない

フジロック3日目。グリーンステージには緩い空気が流れ、まるで朝霧JAMのような雰囲気になった。雲行きは怪しく、いつ雨が降ってもおかしくない。

フジロック初登場の秦基博は、サポートのミュージシャンと共に午後のグリーンステージで柔らかい空気を作った。

アコースティックギターを手にして、まずは「鱗 (うろこ)」から始まる。「夏の風が君をどこかへ遠くへと奪っていく」という言葉があるようにこの日にハマりそうな一曲目である。

雨が降りだすと、みんな一斉にレインウェアを取りだして着る。その手際のよさがフェス慣れした人たちなのだ。ちょうどよく「天気図を横切り前線は伸びる」と雨を歌った「言ノ葉」がこの状況を的確に捉えていた。

アコースティックなギターの響きを中心に柔らかい空気を作るのは、ジャック・ジョンソンを観たときと似たような感覚に近い。それでいて、ハードなギターソロがあったり、音響を大切にした曲があったり、4つ打ちの曲があったりと引き出しが多い。

おそらく初フジロックで名刺のようなライヴをするということなんだろう。その誠実で謙虚なイメージが伝わるものになった。

歌っている最中にマイクに止まるトンボに言及し、「トンボも聴きに来てます」といってから「泣き笑いのエピソード」を歌う。半年間、毎日この歌を聴いていた日々を思いだす。そういえば、千代のお父さんはこの後のグリーンステージに立つんだよな。「笑顔をあきらめたくない」という歌詞が刺さる。どんなときでもあきらめたくない。グリーンステージで聴いている人たちにじんわりと伝わっていく。

そして「ひまわりの約束」。多くの人が聴いたことある印象的なサビは苗場の山に響いて、聴いている人たちの心に沁み渡るものになった。「君のそばにいる」ことも叶わなくなるかもしれない明日に、素朴な気持ちだけでも持っていたいという切実さが共有されたのではないか。

最後にひとりステージに残り「朝が来る前に」。静かに、しかし前向く決意を示した歌で締めくくる。3日目午後のグリーンステージを優しく包んだのであった。

[写真:全9枚]

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8/22 SUNGREEN STAGE