LIVE REPORTWHITE STAGE8/20 FRI
DYGL
秋山が伝えたかったこと
DYGLという非常に真面目なバンドが不器用なままその素顔をさらけだしたステージだった。ひとつ前のドレスコーズが演奏やパフォーマンスやお客さんたちの迷っている心に寄り添うメッセージの打ち出し方まであらゆる点で上手かったゆえに感動的だったライヴと比べ、DYGLは自分たちもまた迷っているのだということをステージでみせてドレスコーズとは正反対の、どちらがよいとか悪いとかでなく、どちらも感動的なステージをみせてくれた。
必殺の定番曲"Come Together "や"Bad Kicks"を始め、いつも演奏する初期の曲を外し、歌が際立つアコースティックな曲やギターノイズが放出される新譜中心のセットリストでフジロックのステージに立つというのも勇気あっただろうし、迷いの中にいて結論がでない話を長々と秋山がMCするというのもリスキーなことである。黙って演奏していればよいのだけど、でも秋山は、バンドはそれを選択した。
コロナ禍でフェスにでること、ステージに立つことを正面から受け止め不器用な姿を見せることそのものがフェスにくる人たちに伝えたかったことなのだろう。サポートギタリストとDYGLの4人は真摯に向き合い、それが感動的だったのだ。この後もいくつかバンドを観たし、それぞれの向き合い方、誠実さがあったけど、DYGLほど思考の過程までみせたバンドはなかった。
始まるときは、夏の日差しが強いホワイトステージだったけど、だんだん雲が空を覆ってきて日差しが和らぎ、過ごしやすくなった。ずっと旋回しているヘリコプターがうざかったけれども。"7624″で始まり、”Sink"そして"The Search"で終わったライヴはDYGLがフジロックでおこなった何回かのステージの中で一番観客の気持ちに近いものとなった。"The Search"はそれまでの想いをギターノイズにぶつけたような熱演だった。演奏が終わると秋山はマスクをつけてステージを去っていった。
セットリスト
7624
Bangar
Half of me
Stereo Song
Wanderlust
The Rhythm of the World
Alone in the Room
Bushes
Sink
The Search
[写真:全10枚]