LIVE REPORTWHITE STAGE8/21 SAT
AJICO
音楽で“接続”を。20年の年月を経たAJICOの見せる美しきステージ
フジロックの出演者にAJICOの名前を見たとき、ひどく興奮したのを覚えている。AJICOと言えば、浅井健一(Gt&Vo)とUA(Vo)を中心に結成され、2001年に活動を休止している。その後、2021年には活動を再開し、新しい音源をリリースした。だからもちろん、ちょっと期待していた部分もあったのだけれど。
AJICOは活動の時期が短いこともあり、20年の年月を経て再結成をしてから、もしくは今回のフジロックで初めてライブを見るという方も多かったのではないだろうか。WHITE STAGEには、そんな彼らの姿を一目見ようと、多くの人が集まっている。
SEのないまま、浅井健一、TOKIE(Ba)、椎野恭一(Dr)、それからサポートメンバーの鈴木正人(Key)がステージに現れ、それぞれの位置につく。まずは、キーボードの爽やかなサウンドが心地いい“ぺピン”。曲が鳴らされ、登場するUAは腰の位置に長いロープがあしらわれた白地のドレスを身に纏い、髪は蛍光色のカラフルなゴムで結わいている。腰についた長いロープをぶんぶん振り回し、少し踊りながらステージを歩くUA。正直、こんなドレスUAくらいしか着こなせないだろうな……なんて思ってしまう。
TOKIEと椎野のどっしりとしたサウンドにベンジーのお馴染みのグレッチのサウンド、中央にはUAがいて、もうそれだけで絵になる。豪華オールスターみたいな人たちが組んだバンドなので、当たり前ではあるが。“ぺピン”は2001年にリリースされた曲なのに、UAもベンジーも不思議なくらい歌声が年を取らない。場の空気を支配するようなUAの声に、セクシーなベンジーの声。もうこれだけでも十分すぎるくらいのライブになっている。
ベンジーの歌声に身を任せて聴き入ったTHE SHERBETSの“Black Jenny”のあとは、2001年にリリースされた『深緑』から、“波動”、“美しいこと”と、ファンにはたまらない曲が続く。やっぱり、大自然のなかで、しかも苗場で聴くUAの歌声は特別だな、と思い知らされる。どこまでも響き、表現力が豊かな歌声は聴いているだけで清らかな気持ちになれる気がする。
それから、“悲しみジョニー”に”水色”。UAとBLANKEY JET CITYの曲が演奏される。先ほどの“Black Jenny”も同じく、AJICOの曲だけではなくて、ベンジーとUA、それぞれの曲をセルフカバーという形でAJICOのバンドで聴けることが嬉しい。ソロのときとは異なった新たな表情が見せてくれたのではないだろうか。
今年発売された最新アルバムからは、キーボードサウンドがアクセントとなる“地平線 Ma”と、メランコリックなベースが響く“接続”。全身で浴びるすべての音が心地よく、身体を揺らしながら、聴き入ってしまう。
簡単なメンバー紹介を終えたあとは、“Lake”と“深緑”と、ベンジーとUAの掛け合いのような歌が心地よい。メンバーがステージを去っていくメンバーには、大きな拍手が送られた。いや~贅沢すぎた。思い返す度に、ライブの魅力で胸が溢れ出そうになる。メンバーそれぞれが第一線で活躍し続けているからこそ、バンドとしての魅力を十分に引き出した充実の時間だった。
[写真:全9枚]