FUJIROCK EXPRESS '21

LIVE REPORTFIELD OF HEAVEN8/21 SAT

草田一駿 五重奏体系 (selected by ROOKIE A GO-GO ’20)

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Photo by 平川啓子 Text by 梶原綾乃

Posted on 2021.8.21 13:37

喜びに満ちたセッション

2日目。カンカン照りのフィールド・オブ・ヘブンにトップバッターとして登場したのは草田一駿 五重奏体系だ。昨年のルーキーステージはオンライン開催だったものの、ルーキーと呼ぶにはもったいないほどの実力で多くのリスナーの心を捕らえた彼ら。「草田さんはこの中の誰なんだ」「一体何者なんだ」なんて騒ぎになったりしたのも、記憶に新しい。

舞台には下手から草田一駿(Pf)、窪田想士(Vib)、宮地遼(Ba)、朝田拓馬(Gt)、井口なつみ(Dr)と並ぶ。しなやかに、流れるようなピアノのイントロから、1曲目“Impulse”が始まる。宮地と朝田はどこか緊張の顔つきだったが、草田と目を合わせながら、その場で確かめるようにセッションしていくと、表情にゆとりが見えてきた。曲はじわじわと盛り上がっていき、朝田のギターソロになると、ぽろぽろと優しい爪弾きから始まり、エモーショナルなメロに至るなど、その幅の広さに驚く。
曲の展開はプログレっぽく、メロディアスで複雑な絡みをしていくものだったが、きれいきっちりと見せ場をキメていく。最初からとんでもない演奏を目撃したオーディエンスは、かなり熱の入った拍手で彼らに応えた。

「みなさんこんにちは、草田一駿 五重奏体系です」喜びと緊張が混ざった笑みで草田が口を開くと、今日の感謝を述べた。どうやら晴れ男だということで、「きっと晴れると思っていましたが、晴れましたね」と嬉しそうに語った。今回のメンバーを紹介しながら、「自分の音楽をプレゼンするのはもちろん、メンバーの音楽活動もそれぞれ知ってほしい」と、観客に優しく語りかけた。

続いては、“Peak”。水面のようにゆらぎきらめく草田のイントロから始まり、やや硬質なヴィブラフォンと、アコースティックギターの温かなタッチが加わっていく。中盤の宮地のソロは、低音というよりも、中高音を細かく使い分けている繊細なものだった。6弦ベースから発せられる色彩の多さには驚かされる。続くヴィブラフォンのソロは、ひんやりと冷たく、標高の高い土地で手がかじかむ感じを想像した。そして井口のドラム・ソロ。冷静で的確、重たくどっしりとした厚みが頼もしい。いずれも安心して耳と体を傾けられる。

この日のために作ったという新曲“Resonation”では、サポートメンバーが一旦退場し、草田だけのプレイとなった。その名の通り「共振」がテーマになっているようで、「音楽で共振し合えるような社会になればよいと思った」とのこと。隣り合う4つの音を震わせるようなシーンがあり、それをだんだん大きな1曲に膨らませていく。すでに作った曲ではあっても、その場でバラしていちから積み上げていくようなプレイ。一瞬たりとも目が話せない。

最後は“Ideal”。鍵盤の連打から始まり、歌いやすいメロディを基軸に次々展開していく、ジャズ・フュージョン的楽曲だ。ぴょんぴょんと跳ねるような草田の鍵盤さばき。それを見てすかさず窪田が豊かな音色を打ち返すと、再び草田が彼を伺いながらさらに音を重ねていく。はしゃぎ合うように、テクニックを比べあうその楽しそうな姿、こちらまで楽しませてもらった。

22歳、大型ルーキーの初メインステージは、圧倒的なテクニックと喜びが詰まった幸せな時間だった。今後もセッションを重ね、増していくだろうサウンドの厚みに期待。もっといろいろな人や音を巻き込んでいくんだろうし、可能性しかない。次もぜひフィールド・オブ・ヘブンでお願いします!

[写真:全10枚]

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8/21 SATFIELD OF HEAVEN