MOREFUN - AREA REPORT 7/27 THU (EVE)
完全復活!! フジロック2023前夜祭
いつものフジロックが戻ってきた、その喜び
今年も……というか、こうした前夜祭は4年ぶりなんで初めての人もいるんだろうなと思う。初めての人にいいたいのは、これが今までのフジロック前夜祭だったのだ。「苗場音頭」で踊り、飛び跳ね、花火に歓声を上げて、レッドマーキーのMAMEZUKAのDJで体を揺らし、ライヴを堪能する……そうしたフジロックで一番楽しい時間が当たり前でなくなっていったのがここ数年である。
お客さんも、あの時間も戻ってきてうれしかった。遠慮がちだった盆踊りの櫓を囲む輪が、みるみるうちに大きくなっていったのは感動的ですらあった。オアシスエリアを囲む飲食のテントはどこも長蛇の列を作っていたけど、待つ時間すら楽しく感じられた。今年初の花火を苗場でみて、レッドマーキーに向かうとDJ MAMEZUKAはYMOの“BEHIND THE MASK”をスピンしていた。
前夜祭、というかフジロックでは初めてである中国出身のR&BシンガーLEXIE LIUの声のたくましさに魅了されて、フジロックもこうした領域に広がっていくのだと感じた。背後のスクリーンにさまざまな映像とともに英語と中国語の歌詞が字幕として映っているのが興味深い。レッドマーキーをでて、岩盤スクエアに向かうとSUGIURUMUNがこちらもYMOの一節をかけていたし、そのあとにでてきたTHE ALEXXが格好いい世界を作っていた。岩盤スクエアは地面には草が生えていて足に優しいし、木々に囲まれているので、苗場感が十分に堪能できるし、小ぶりなステージには朝霧JAMのムーン・シャインとかの雰囲気が漂う。改めてよいステージだと思う。THE ALEXXの3人が奏でる打ち込みのビートとギターやテルミンなどの揺らぎを持った楽器が組み合わさった音楽はフジロックの始まりを告げるにふさわしい勢いがあった。
レッドマーキーでの恒例の記念写真のあとに登場した沖縄のレジェンド、紫は堂々たる70年代的なハードロックを披露した。自身のルーツを意識した沖縄音階を取り入れた曲もあった。ド迫力の演奏に長年培われたコクが感じられた。盛り上がっているのは年齢層高めの男が多いけど、前夜祭の熱気も相まって若い人も盛り上がっているのが面白い。インストゥルメンタルでソロを回しているパートだけを抜き出せば、ジャム系バンドぽくもあるからフジロックのお客さんも、そうした理解で受け止められるのかもしれない。最後は”Double Dealing Woman”、そしてディープ・パープルの”Highway Star”とカヴァーと、ハードな曲の2連発でフロアを沸かせていった。
そしてMAMEZUKAのDJプレイがラストを締めくくり、6時間にわたるフジロックの前夜祭が完全復活したのだった。