FUJIROCK EXPRESS '26

LIVE REPORT - WHITE STAGE 7/24 FRI

TORO Y MOI

  • TORO Y MOI
PHOTO BY古川 喜隆
TEXT BY阿部仁知

Posted on 2026.7.25 13:16

生音が拡張するチルウェイヴの情感

フジロック初日の夕方といえば、少し疲れも感じ始める時間帯だ。先ほどまで降っていた雨も止み、夜に向けて身体も少し気だるくなってくる。こんなタイミングには彼のところで踊りたいなと足を運んだホワイト・ステージには、2019年以来の出演となるトロ・イ・モワことチャズ・ベアが登場。さあ、揺られていこうじゃありませんか。

大歓声に迎えられたチャズは、早速“Tuesday”、“HOV”を披露。サポートのベースとドラムを加えた3人編成で、軽やかなシーケンスと歌声に、生音感をたっぷり含んだリズムが絡み合い、少し湿り気を残した苗場の空気をゆっくりとほどいていく。“The Flight”や“The Loop”でも、気持ちよく身体が横に揺れる絶妙なグルーヴが心地いい。

ベースのドライブ感が映える“Magazine”、トライバルなニュアンスを加えた“Grown Up Calls”など、ライブならではのアレンジも実に魅力的だ。ダンスビートを生演奏で拡張するライブといえば、2022年のBonobo昨年のBarry Can’t Swimも思い出すが、トロ・イ・モワはあくまで歌モノとしての輪郭を保ったまま、自然とダンスフロアをつくり上げていく。

一口にチルウェイヴと言っても、ファンキーな質感をまとった“New Beat”、さらに深いところへ感覚を沈めていく“No Show”と、粒立ったリズムが少しずつ身体の動きを変えていき、ホワイト・ステージの空気もゆるやかにほどけていく。ハイネケンを片手に手を振る人、膝をくねらせる人、それぞれが思い思いの踊り方で応えていた。

角張った感覚が少しずつ削ぎ落とされていく中で、じっくりと長尺のイントロを聴かせる“Rose Quartz”なんて鳴らされたら、もう気持ちも身体もとろっとろだ。そうして十分にほぐれたところへ、ダンサブルなビートが前面に出る“Who I Am”、リズムをチョップするようなピアノが映える必殺チューン“Freelance”と続けば、自然と身体も反応してしまう。DJ的な構成と言えばそうなのかもしれないが、それ以上に身体を少しずつ解き放っていく、一種のセラピーやヨガのプログラムのようなライブでもあった。

“Ordinary Pleasure”、“Girl Like You”と進むにつれ、ホワイト・ステージはますますいい空気になっていく。こういうライブは前方でがっつり踊るのもいいけど、少し後ろのゆとりあるスペースで、フィールド全体の雰囲気を感じながら身を委ねるのも悪くない。ついでにハイネケンをもう一杯。最後はFlumeとのコラボ曲“The Difference”で締めくくり、夜への期待も膨らませてくれたトロ・イ・モワ。始まる前は少し疲れていたはずなのに、不思議と身体は軽くなっていた。

夜のDJセットは、もっとアッパーなBPMでグッド・バイブスな時間になるらしいので、このまま流れに身を任せて、ふらっと踊りに行くのもよさそうだ。

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7/24 FRIWHITE STAGE