レッドマーキー一発目。最高のスタート
レッドマーキー初日の一発目を飾ったのは、今回がフジロック初出場の8otto。初並びのこのライヴ、なんだか縁起が良さそうだと思ったのは間違いじゃなかった。文句なくカッコいい。見終わった直後に「またフジで観たい」と感じるバンドは久しぶりかもしれない。
初っ端から「苗場ー!フジロッーク!!」と叫び、フジロッカーズの気持ちをグッと引き寄せたのはドラム&ヴォーカルのマエノソノマサキ。「みんなで日本の元気をでっかくするぞ!」の言葉を合図に、TORA(Ba.)、リョウ(G.)、セイエイヨシムラ(G.)が楽器をかかげながら前に出てきた。このステージへの気合いがひしひしと伝わってくる。1曲目「Counter creation」が終わるとマエノソノが立ち上がり、スティックを高々とつきあげた。レッドマーキーのステージでその姿がひときわ大きくみえたのは、彼が長身だから、という理由ではないはずだ。
8ottoのライヴを観ていると、いままでに感じたことのない不思議な気持ちになる。モッシュやダイヴが起こるわけでもなく、オーディエンスは食い入るようにステージをみつめているのに、その内側は静かに熱くなっているのがわかる。すごく低い位置からじわじわと突き上げてくるような歌声と音にひきつけられて、彼らの一挙手一投足から目が離せなくなるのだ。一瞬、4人がステージに立つ姿をフロアの後ろから見たいと思い、後方に下がろうとしたのだが、なかなかそれができない自分がいた。その日本人離れした佇まいと人をとらえて離さない音楽性は、努力して手に入れられるものじゃない。間違いなく彼らだけの個性だ。
ラストの「VOO DOO バウアー」で、ドラムの位置を飛び出し、ハンドマイクになったマエノソノはとうとう客席にダイヴ。そのまま客席を右から左へ移動し、熱狂の輪を作り上げる。こうなるともうオーディエンスも静かに熱く……ではいられなくなった。ステージと客席が一体となった最高で最狂の瞬間だった。
雨が降っていたこの時間、レッドマーキーには雨宿りにきたお客さんもいたかもしれない。しかし、最後はそういうお客さんもしっかり自分達の側へ取り込んだ。初出場の舞台で最高のパフォーマンスを見せた8otto。またすぐに、苗場で会えることを強く願う。
写真:直田亨 (Supported by Nikon)
文:輪千希美