DEERHOOF インタビュー

Red Marquee | 2011/07/29 17:59 UP

レッド・マーキーでキュートかつエッジの効いたライブを見せてくれたディアフーフ。ライブ後にボーカル&ベースのサトミさんに、フジ・ロックのこと、それから海外で活躍している彼らならではのエピソードを色々聞かせていただきました。

ーでは、まず単独のライブとフェスティヴァルに出る時では気持ちに違いはありますか?

 そうですね。単独ライブに来るのはディアフーフのことを知っているお客さんだからファミリー的な雰囲気で出来ますが、フェスティヴァルの場合はフラッと立ち寄ったお客さんや「ディアフーフってどんなバンドなんだろう」と思って来てくれるお客さんがいるので、演奏する時にちょっと緊張するというか。でもそういうお客さんが来てくれるのは凄く良いことなので、バンドにとってフェスティヴァルは最高のプロモーションだし、新しいファンに自分たちのやっている音楽を知ってもらう良い機会だな、と思います。

ー今日のレッド・マーキーでのライブはどうでしたか?

 凄く良かったと思います。レッド・マーキーは以前に少しだけ出たことがあって(注:ピーター・ビヨーン・アンド・ジョンのライブで「ヤング・フォークス」をサトミさんが歌った)、既にちょっと知っているステージだったので、結構リラックスしてライブの臨めて良かったです。

ー前回は小さい苗場食堂と大きいホワイト・ステージでライブをやりましたが違いを感じるところはありましたか?

 苗場食堂は目の前にお客さんがいるので、お客さんにとっては親近感が湧くのかな?苗場食堂でのライブは実は自分たちとしてはあまり出来が良くなかったのだけど、後でお客さん達が凄く良かったと言ってくれて、やはりこの距離で演奏してくれているというのがお客さん的には嬉しかったみたいですね。その感覚ってすごく良いことだと思うんですよ。だからディアフーフもものすごい大きな会場でやる、というよりは中規模でお客さんを近くに感じられる距離でのライブをやるようにしています。

ー確かに苗場食堂は本当に間近というか、後ろの座敷ではご飯食べている人もいるし360度見られている、という独特な環境ですよね。

 そうなんですよ。レッド・マーキーやホワイト・ステージのような所だとライティングが凄いから、神様的な雰囲気に浸ってしまうというか、どんなバンドが出てもオーラが出て来ると思うんだけど、苗場食堂は裸電球じゃないですか。あの雰囲気が逆にお客さんとの化学反応を引き起こすというか。他のバンドももっと苗場食堂でやってほしいですよね。楽しかったですよ。

ー海外のフェスにも参加していますが、一番印象に残っているフェスはありますか?

 フェスの印象ではないのですが、数年前にロスキルド(デンマークのロックフェス)に出た時、移動などで前日に一睡もしていなくて、身体の限界が超えた時に4人の疲れがエネルギーに変わって、「自分達はこんなことまで出来るのか?!」ていう位の音楽以上のところに達したぞ、みたいな達成感でいっぱいでしたね。ディアフーフのライブにあまり期待していなかったお客さんもびっくりした位のすごいライブが出来ましたね。

 私、ベース持ったままブリッジ(エビぞり)やっちゃって。まさかそんな事出来るとは自分でも思っていなかったし。もともと、ライブの時の踊りはインプロビゼーションというかその時に感じたままで動くのだけど、「あ、出来るな!」と思った時にやってみたら、その後全然身体も痛くないし、疲れがペインキラーの役割を果たしていたみたい(笑)わざと自分をそおいう状態に追い込んでやってみるのも良いのではないかと思いましたよ(笑)

ー他のフェスとフジ・ロックとの違いをどのようなところで感じますか?

 やはり奇麗ですよね。ゴミないし。あと、人がお互いをリスペクトし合っていますよね。ビールのコップをその辺にぽいっと捨てたりしないし。以前、ヨーロッパのフェスでソーセージで滑りましたもん!ゴミに気をつけないと大変なことになるってねえ。

 あとドラゴンドラは最高です!「フジ・ロックといえばドラゴンドラ!」これ書いておいて下さい!山頂に着いた時に動物の着ぐるみが出迎えて踊ってくれて楽しかったし、ちょっとした散歩道があるし。乗っている間も楽しいし。

ー他にフェスでの珍エピソードや失敗談などありますか?

 フェスではないんですけど、前回のUSツアーでタンバリンを2回盗まれました。なので、それ以降タンバリンを買ったら「Deerhoof. DO NOT STEAL」(ディアフーフ。盗むな!)と書いています。一度は、お客さんに「タンバリン頂戴」と言われて「ノー!」と言ったのに盗んで行ったんですよ。ディアフーフのお客さんでこんな悪い人がいたなんてちょっとショックだったな・・・て。

ーフジ・ロックではそんなことはありませんからね。

 そうですよね。まったくないですよね。

ーフジ・ロックには明日も滞在するんでしたっけ?

 明日は、オレンジコートでコンゴトロニクス vs ロッカーズに出ます!スケルトンズのマットやフアナ・モリーナ、ワイルドバーズ&ピースドラムスなどと一緒にやるんです。是非見に来て下さいね。

ー今年のラインナップで注目のアーティストは誰ですか?

 日曜日に見たい人が固まっているんですよ。YMOにティナリウェン。あと、ウィルコは友達なんです。今、ディアフーフはシリーズで色んなアーティストがディアフーフの歌をカバーする7インチを出していて、そのシリーズの一つにウィルコのジェフが歌っているんです。ギターのネルズは昔からの友達ですし。ウィルコ見たかったのですけど、入れ違いになっちゃいますね(残念そう)。なぎら健壱のトークも見たいな。

ーもしディアフーフがフェスティヴァルをオーガナイズするとしたらどんな人達をブッキングしたいですか?

 まだ見た事なくて見てみたいのは、ミカチュウ・アンド・ザ・シェイプス。あ、でもあちらの方が大きいから、ミカチュウ・アンド・ザ・シェイプスに呼んでほしいです!

ーでは、最後にフジロッカーズにメッセージをお願いします。

 そうですね。震災後で色々と大変ではあるのですけど、フェスティヴァルで元気づけて頑張っていければと思いますね。海外のアーティストにもどんどん来てほしいし、支援もして行きたいし。ディアフーフも色々と携わっているんですけど、長期間でみんなで助け合っていければな、と思います。「ロングランで頑張って行きましょう」ということですね。


文:堀内里美・熊沢泉
写真:直田亨 (Supported by Nikon)
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