FOUR TET

Red Marquee | 2011/07/30 11:03 UP
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心地よい刺激に包まれて

 日付が変わったこの時間でも雨が降ったり・止んだりの繰り返しが続いたが、屋根ありのレッドマーキーで行われたプラネット・グルーヴは、今年もまた盛り上がりを見せていた。まずはチルウェイヴの旗手として、ひと際存在感を放つWASHED OUTがバンドセットで登場。幻想的でノスタルジックなサウンドを奏でながらも、エモーショナルな熱量を感じさせるパフォーマンスで会場を彩った。続いてのSBTRKTも2人組での人力での迫力あるライヴで揺らす。こちらはいい意味での裏切りにあったとでも表現すべきだろう。あんなにも張りのある歌声が木霊するとは!

 そして、深夜1時を回ってからFOUR TETことKieran Hebdenがステージへと姿を見せ、定評のあるパフォーマンスで会場を夢見心地へと誘っていく。浮遊する柔らかく美しい電子音とテクノに沿った強靭なビートが成すそのサウンド・デザインにみんなが虜。情緒的なメロディとユーモアに彩られた世界は、自然と心が奪われるほどに感傷的でノスタルジックである。その一方で4つ打ちを中心としたビートは重くズンズンと身体に響いてくる。エレクトロニカとテクノを見事に橋渡しして、心地よさと刺激で人々を満たしていく。

 前半はミニマルで徐々に徐々に会場の熱を上げつつも、カラフルな音色が飛び交っていて、うっとりとするような瞬間が何度もあった。そして、中盤では一気にテンポを上げて、強靭なビートが狂気的な熱に包み込む。刺さる様なリズムの連続には思わず心も体も昂ぶりを覚えるのであった。また、声をサンプリングさせて、感傷を誘う事も。それ故に、ライヴを通じてのストーリーもしっかりと練られていて、心地よいだけでなく、物語をひも解いていくような感覚もある。特に印象に残った曲は終盤に披露された「Sing」。そのチャーミングな電子音の跳ねっぷりと力強いビートに揺さぶられっぱなし。70分強のパフォーマンスは実に見事。言葉を発せずに手を振って歓声に応えた去り際の一幕にもまた美学を感じさせた。


写真:府川展也
文:伊藤卓也
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