くるり

Red Marquee | 2011/07/31 05:00 UP
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 巨大なダンスフロアと化したグリーンステージ大トリのケミカルブラザーズを背に、後ろ髪引かれつつ向かったレッドマーキー。この後にはクロージングでザ・ミュージックのラストライブだってある。それらを蹴って来てるんだぞ。また捻くれた選曲のライブなんてやったら承知しないからな、岸田!と(愛するあまりの憎まれ口です)到着したのはスタートの15分ほど前。裏で大トリのステージが繰り広げられているとは思えないほどの人の溢れかえりっぷりに、みんなのくるりへの期待をビシビシと感じる。

 ’99年1stアルバムをリリースした年の夏、今の ROOKIE A GO-GO の元となるルーキーステージ Livi’s NEW STAGE へ出演。これをきっかけに、’01年にはフィールド・オブ・ヘブン(みんなの知らない曲ばかりやって怒られたらしい)、’03年のホワイトステージ(ヴィンセント・ギャロに褒められたらしい)、’05年/’08年の2度のグリーンステージと、確実に実力をつけ理想的なステップでスターダムへとのし上がっていった。今更のレッドマーキー出演は、レッドにだけまだ出ていないからってことだったようだ。そんな、ルーキーアーティストたちの目標とも言える、フジロックと共に育ったくるりの3年ぶりの帰還。

 時間とともにじわじわと密度の上がってくる会場内。そんな中のスタート約5分前、混み過ぎて少ししか見えない青く光るステージに岸田がひとり現れた。そして弾き語りで歌われた「ばらの花」。グリーンステージのことなんて頭から一気に吹っとぶ。これを聞けただけでもう十分満足、そう思ったのは自分だけではないはずだ。曲が終わると証明が明るくなり、メンバー全員が登場。そうだった。5人になったくるりをこの目で観なくては。“ロックンロール” “お祭りわっしょい” “ハイウェイ” とケミカルブラザースのパーティーセットさながらのぶち込みっぷり。ファンファンのトランペットが加わった曲は、よりリズミカルになり、イントロでの「おぉー!」からの大合唱、これの繰り返しで、会場はのっけから大盛り上がりとなった。
 
 ここで「帰ってきました!」と3年ぶりのフジロックのファンたちに新メンバーの紹介。ゲストにスティール・ギターを持った高田漣も加わったところで、「アタリに負けないようなハードコア空間へ、レッドマーキーを湯気だらけにしてやる!」と “温泉”を歌いだす。
 
 そんな調子で、MCのたびにGANBANから聞こえてくるやついいちろうのDJにやられながらも(絶妙なタイミングでYHA YHA YHA に You wa shock! )、あんな曲やこんな曲、つい最近作ったという新メンバーになって以降の曲 “IPPO”も披露され、男子も女子もみんな大合唱で、熱気に包まれたままあっという間に過ぎ去った1時間。
 新メンバー3人が加わった新生くるり(このフレーズをもう何回聞いたことか)の音は、キレイ過ぎたりまとまり過ぎたりせず、生っぽさとグルーヴ感のあるとてもバンドらしい音で、単純にすごくよかった。観客との距離も今までよりもより近く感じる音だったし、セットリストも過去のイベントで何度も見てきたファン置いてけぼりの選曲とは違う、素直に期待に答えてくれる大人なバランスよい選曲。始まるまでうだうだ言ってて悪かった。憎いぜ岸田。今度こそ長続きするんじゃないか?とそんな予感がする新しいくるりをフジロックで観れて本当によかった。


―set list―
ばらの花
ロックンロール
お祭りわっしょい
ハイウェイ
温泉
旅の途中
飴色の部屋
奇跡
IPPO
リバー
ブレーメン
コンバット・ダンス
ワンダーフォーゲル


写真:近澤幸司
文:manakov
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