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7/25 FRIWHITE STAGE

WILD BEASTS

美しき4人の獣たち

そのバンド名だけを見て、ゴリゴリの音や風貌を予想していた人は、かなり驚いたのではないか。髪をきっちりオールバックに撫でつけたフロントマンのヘイデン・ソープはじめメンバー4人は、みなインテリおしゃれさん。そしてバンドが奏でる音楽は情緒的で繊細、かつ緻密に構成された曲ばかりなのだ。

今年2月にリリースした最新アルバム『プレゼント・テンス』が多数のメディアで絶賛され、6月にはグラストンバリー・フェスティバルにも出演した彼ら。このフジロックが満を持しての初来日だ。彼らがホワイトステージでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待に胸を膨らませたファンが転換中の早い時間から最前列に陣取っていた。

時計がオンタイムを告げ、メンバーがステージに現れる。1曲目は最新アルバムを象徴する曲“Mecca”。ヘイデンのファルセットボイスと美しいシンセサイザーの旋律に序盤からグッと引き込まれ、思わずため息が出そうになる。ライブが始まるまでは暑くて仕方なかったが、演奏が始まったら少し雲が出てきて日が陰り、暑さがスッと引いた。ヘブンの方から時おり吹いてくる風が心地よい。クールな彼らには、灼熱のステージよりこの方がよくなじむ。

続く“Reach a Bit Further”、“Sweet Spot”では、印象的なサウンドに、ヘブンからの坂道を降りてきた人たちが「お!」という顔をして足を止めていく。会場にさらに人が増えてきた。
ヘイデンの「踊ってくれたら嬉しいな」というMCで始まったのは“A Simple Beautiful Truth“。ステージの前方から後方までたくさんのオーディエンスが思い思いに体を動かし、美しい音の波に揺られている。ヘイデンが気持ち良さそうに時おり両手を上げて歌う姿が印象的だ。
“Hooting&Howling”ではオーディエンスから自然と手拍子が起きた。リヴァーブの効いたギターのリフが、まるで空に放たれていくようだ。そのギターにシンセサイザーが溶け合い、力強い歌と一体化してグルーヴになる。それがオーディエンスに伝播して、オーディエンスが手拍子でステージへ返す。最高の一体感だ。こういう奇跡のような場面に居合わせることはそうそうないし、それがフジロックという場所でなら、感動もひとしおだ。

彼らのライブの最大の魅力は、曲の美しさに聴き入ってもいい、あるいは共に踊ってもいいという、オーディエンス側に楽しみ方を任せるところにある。CD音源やMVだけ見聴きすると「音源重視のバンドなのかな」とも思えてしまうけれど、彼らは素晴らしいライブバンドだ。本当に濃厚であっという間の50分間だった(まだまだもっと見ていたかった!)。次はぜひ照明を活かした夜のステージで彼らの世界観を堪能させてほしい。

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