ROVO and System 7
ヘブンの空を舞うフェニックス
今年のROVOの出演ステージは、フジロックでのホームグラウンド、ファンにはおなじみのフィールドオブへブンだ。ROVO+SYSTEM7としては初めての野外ライブとなる。
この合体プロジェクトについて、音源は聴いたがライブで観るのは初めてという人も多いだろう。いったいSYSTEM7が加わってどんな化学変化が生まれるのか。奇跡をこの目で観たい、体感したい。
そのようなファンが相当数いたと見える。ライブが始まる30分以上前から、ヘブンの半分を埋め尽くすほどの人が椅子に座って待機していた。リハの時点から前方はノリノリ。オレンジ、ホワイト両側から止めどなく人が流れ込んできて、あわや入場規制?と思ったところで18時の定刻を迎えた。
「『Phoenix Rising Tour』では、去年はアジア、今年はヨーロッパと回って、今日はその集大成になるので、ぜひ楽しんでいってください」。勝井祐二のその言葉が、宇宙旅行への出発の挨拶だった。
一曲目から代表曲”Hinotori”。勝井のエレキヴァイオリンと山本精一のギター、そしてスティーブ・ヒレッジのギターが絡み合う。三者のフレーズがピタリと重なりハーモニーとなった時には思わず鳥肌が立った。そして、そこかしこから上がる歓声と拳。
“Meeting of the Spirits”、”Sino Dub”でも勢いはそのままに、幾重にも折り重なるシンセサイザー、見るも鮮やかなツインドラム、バッキングにリードにと自在に動くギター、そして縦横無尽なヴァイオリンと、無限に広がる音楽空間の深淵にただただ圧倒されてしまう。
ヴァイオリンのピッチが上がるのに呼応してオーディエンスのテンションも高まる一方。声をあげ腕を上げ、リミッターなどとうに外れているようだ。もう凄いとしか言いようがない。
背景のプロジェクターには、万華鏡のように幾何学模様が広がり、美しいフェニックスが羽ばたいていくMVが映し出されている。音と光と映像が織りなすサウンドスケープは、まさに宇宙空間。五感を委ねているだけで、意識を別次元へ持っていってくれる。会場全体がそんな状態になっているさまは、本当に壮観だ。
ラストの”Cisco”では、メンバー全員の奏でる音が最高到達点を目指し駆け上がっていき、最後には眩いばかりのビッグバンとなりヘブン全体を包み込んだかのようだった。
フジロックでのROVOは、この場所でしかできない不思議なトリップ体験をさせてくれる。身体は疲れているのに、それに反して神経が昂り、今にも走り出したいような衝動に駆られる。これは日比谷野音でも他のどの会場でも味わえない、フジロックだけの奇跡のようだ。今回はさらにSYSTEM7の音が掛け合わされ、より壮大な宇宙旅行へと誘ってくれた。
美しく空を舞うフェニックスを脳裏に浮かべながら、この貴重な体験を会場いっぱいのオーディエンスと共有できたことを、心から幸福に思った。
posted on 2014.7.25 18:00
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