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7/26 SATGREEN STAGE

ウルフルズ

等身大の歌であると信じさせてくれる誠実さ

メンバー紹介時、ボーカルのトータス松本のことをギターのウルフルケイスケはこう呼んでいた。「魂を揺さぶる男」と。まさしく、と思うと同時に、その「魂を揺さぶる」という言葉はこのバンド自体のことも表している、というしっかりと確かな感触があった。彼らのライブを観ていてこんなにも心に迫ってくる感じがあるのは、観客にひたむきに真っ直ぐ向かおうとする姿であり、また等身大の歌であると信じさせてくれる誠実さがあるからではないだろうか。そんなことを終始、考えさせられるライブだった。

2009年8月に活動休止して以来、トータス松本、ウルフルケイスケ、ベースのジョンB、ドラムのサンコンJr.と、それぞれ個人としての活動をおこなっていた彼ら。が、それから約4年半後。今年の2月25日、公式サイトにて活動再開のアナウンスを。配信限定シングル『どうでもよすぎ』のリリース、6年半ぶりの全国ツアーの実施、同じく6年半ぶりのオリジナルアルバム『ONE MIND』のリリース、5年ぶりの野外コンサート『ヤッサ!』の開催など、続々と展開が発表された。すでにいくつかフェスにも登場している中、フジロックには初参戦で、2日目の昼のグリーンステージに出演となった。

比較的、白系で統一された衣装のメンバーと、サポート・キーボードを務める浦 清英が登場した後…間髪入れずに聞こえてきたのが「イエーイ、フジロック!エブリバディ」という、トータス松本のかけ声。真っ昼間のグリーンステージとは思えないくらい、人が集まったそのあたりに声が響き渡るとすぐ、一発目として”ガッツだぜ!!”を披露していく。次に演奏された”SUN SUN SUN’95″もそうだけれど、毎回、ボーカルが入った途端にその場にいるほとんどの人たちが一斉にメロディを口ずさんでいく、もしくは歌い出していくのがよく分かる。たとえ、もう何十年も前にリリースしていたものだとしても。それほど身体に染み込んでいるのだな、というのを実感することができた。

“借金大王”では、メンバー同士が顔を見合わせて演奏し、微笑み合う瞬間を、バンド復活後の初となる新曲”どうでもよすぎ”では、コーラスや曲中にあるセリフなどから垣間みられるコンビネーションの良さを…言うまでもないかもしれないが、もう4年半なんて時間をまったく感じないのが本当に嬉しかった。その後、「ありがとう、すげぇ、人がいっぱい」というトータス松本の言葉を挟み演奏されたのは、オリジナルアルバム『ONE MIND』に収録されている、ウルフルケイスケのクリアなギターから始まる新曲”ヒーロー”。正直に、そして、しっかり胸を張りステージに立つ姿はとても気持ちよさそうで、こんな風であれたら、と幾度となく思わされてしまった。終盤には、”バンザイ ~好きでよかった~”や”ええねん”も。この曲を聴いた時、あぁ、ウルフルズの曲って、色褪せることなく、むしろ、時間が経つにつれて、より強く、より色濃く、曲の本来の姿を自分自身の中に感じられるのだな、と思った次第である。

「ウルフルズ、これからも頑張ります!歌ってもええか?もう1曲やってもええか?歌うに決まってるやろ!いくぞー!」。そんなトータス松本のMCを合図に、ラスト曲の”いい女”がスタート。歌い終わると、トータス松本は一足先に袖へ。が、メンバーが「もう1回トータスに会いたいかい?」と呼びかけると、その場でトータスコールが。すると、後ろ向きでステップを踏みながら、トータス松本がカムバックし、”いい女”を最後しっかり締めくくってくれた。本当にこれでもか!というくらい骨太で眩しいライブを魅せてくれたウルフルズ。だから、さっきからバンドに対する愛おしさがドクドクと溢れ出て止まらないのである。

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