NAOKI IENAGA
ルーツレゲエに酔いしれる贅沢な大人の時間
ダブストア・レコーズ代表の家永直樹がDJブースに立つと、クリスタルパレスの円形になったフロアから大きな拍手が上がり、家永は両手を差し伸べてそれに応えた。大きめの白いハットにグレーのスーツ。赤いネクタイとジャケットのポケットに差した赤いスカーフがアクセントになっていて、とってもおしゃれだ。ヒゲのはえた貫禄のあるルックスは、葉巻が似合いそうである。
ジェントル・アイの後で観客が減ってしまったが、それでもまだ多くの人がフロアに残り、フジロック深夜の部を楽しんでいる。家永は60s、70sのルーツレゲエやスカを中心にプレイし、ドン・ドラモンドの“Don Cosmic”やジャッキー・オペルの“The Lord Is With Me”といった名曲がパレスに多国籍な雰囲気を醸し出していた。グリーンとレッドを基調とした布が天蓋を覆うこのパレスにいながら家永のDJをゆったりと聴いていると、まるでどこか外国のバーに来たかのように感じる。踊るもよし、飲むもよし、腰を下ろして友達と語るもよし。オーディエンスはみな思い思いに、このゴージャスな時間を楽しんでいた。
観客が特に嬉しそうな歓声をあげたのは、終盤にボブ・マーリーの“Amen”がかかったときだったろうか。気がつけば再びいっぱいになっているダンスフロアで、ボブの歌を歌う人がたくさんいた。先ほどプレイしていたジェントル・アイの面々もちらほら見える。心地よいルーツレゲエをゆったりと楽しんでいると、なんだか人生って素敵だなと思えてきた。夜が深くなるにつれ盛り上がりをみせるパレスの大人の時間。豊かな気持ちに浸りながら、お祭りの夜はふけていった。
posted on 2014.7.27 00:30
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