JOHN BUTLER TRIO
新生ジョンバトラー、ここに完成
昨日までの暑すぎた晴天を和らがせるような本日の雨。過ごしやすい気温だが、風が吹けば少し肌寒く感じる気候の中、14時のグリーン・ステージ。開始10分前からモッシュピットは既に満席。どんどん観客が集まり出している。新作『Fresh & Blood』と新しいドラマー、グラント・ゲラシーを引っさげて、ジョン・バトラー・トリオの登場だ。
10分押しで、メンバーが姿を見せる。小雨が少し降っているが、そんなものおかまい無しで観客たちは大歓声をあげてメンバーを迎えた。既にジョンの手にはバンジョーが握られており、おなじみのセッションが始まる。この時点で、頭の曲を予想できた人も多いのではないだろうか。そう”Better Than”だ。最も知名度のあるジョンのアルバム『Grand National』の一曲目で、スタートしたのである。バンジョーの小気味よいリフがグリーン・ステージをどんどんジョンの世界に誘っていく。観客たちもそれぞれがゆらゆら揺れながら楽しんでいた。間髪入れずに”Don’t Wanna See Your Face”が始まり、グリーンステージは次第にダンスフロアーと化して行ったのだった。
新作の『Fresh & Blood』はグラント・ゲラシーが加入してからの作品ということもあるが、ダヴのエッセンスが感じられたりと、前作の楽曲たちとは少し違ったアプローチの曲が多く存在している。今日演奏された”Blame It On Me”もその中のひとつで、ずっしりとした重いリズムの中、ジョンのカオティックなギターがかき鳴らされるというものだ。本日そういった新曲も多く披露されたのだが、やはりジョンの世界観はブレていなく、心地よいグルーヴがずっと続いていた。
ライブ中盤、ジョン以外のメンバーがステージ裏へと上がる。ジョンがおもむろにMCを始める。「日本語はわからないけど、言葉はいらない。ここはきれいな場所だね」”Ocean”が始まるのだ。歌がなく、ギターだけのこの楽曲。そして本日一番演奏して欲しかった曲だろう。その証拠に観客たちは大きな歓声を上げ、”Ocean”の始まりを待った。12弦ギター(ジョンは11弦で使用しているが)の旋律はとてもきれいで、苗場の山々に浸透するように鳴り響いていく。降っていた雨がやみ、晴れ間が顔を出し始めるという奇跡付きで、きれいなコードが次々とアルペジオで演奏される。普段イヤホンやスピーカーでしか聞くことができないわけだが、苗場の空気を伝わって耳に入る”Ocean”は格別で、観客全員を優しく包み込むようだった。
“Ocean”が終わりメンバーが戻ってくる。「歌ってみないか?」そう言って始まったのは”Zebra”だ。この曲もライブではおなじみの曲で、おそらく見ていた観客のほとんどが知っていたのだろう。メロディーに合わせてたくさんの観客が一緒に歌っていた。こうして観客たちをオーガニックな世界に巻き込みながら最後まで盛り上がってライブは終了した。
2010年グリーンステージに彼らが出演した記憶は新しい。当時演奏された曲も本日多く演奏された。ベースのバイロンは、前回出演したときまだ加入当初であって少し落ち着かない様子だったが、本日は最高にグルーヴィーなベースを聞かせてくれた。またグラント・ゲラシーの叩くドラムはずっしりと重く、新しいジョン・バトラー・トリオのグルーヴに一役買っていた。”Funky Tonight”などのアンセムが聞けなかったのが少し残念だが、それは次回の楽しみとしてとっておくことにしよう。
posted on 2014.7.27 14:00
SAME CATEGORY
-
Potlucks
注目されるの、遅くない?
posted on 2014.7.28 01:00
-
憂歌団
ステージの奥の「憂」の幕が、赤提灯に見える。
posted on 2014.7.27 21:00
-
RIDDIMATES
すべてを喜びに変えて駆け抜けたステージ
posted on 2014.7.27 23:00
-
THE MAN
posted on 2014.7.27 08:31
-
バセルバジョン
アクシデントがもたらしたサプライズ
posted on 2014.7.27 16:30
-
FIRST AID KIT
ナチュラル・ボーンな本物
posted on 2014.7.25 16:30