OWL CITY
青空の下で最高のダンスタイムを
2012年以来二度目のフジロック登場となるOWL CITYことアダム・ヤング。3年の時を経て、『The Midsummer Station』『Mobile Orchestra』という2枚の新たなアルバムを携え、彼が再びグリーンステージをハッピーな空間に変える日がやってきた。
定刻10分前の14時40分、前日から降り続いていた雨がようやく止み、雲の切れ間から待望の青空がのぞいた。気温もぐんぐん上がって、いよいよフジロックらしい天気に。そして14時50分、日本語での「集まってくれてありがとう。皆さんのために演奏できて光栄です。楽しんでください」というアナウンスとともにアダムとバンドメンバーがステージに現れた。沸き上がる歓声に応えるようにして始まった1曲目は”Dementia”。BLINK-182のマーク・ホッパスをフィーチャーした曲で、OWL CITYの曲の中ではかなりロック色の強い曲だ。彼らしいキラキラしたエレクトロポップを想像していた人は意表をつかれたのではないだろうか。続けて演奏された“Dreams And Disasters”や“Up All Night”も、ギターやドラムがしっかり前に出たバンドアレンジ。とはいえシンセサイザーはおなじみの浮遊感あるドリーミーなサウンドを何層も鳴らしていたし、ベースは低音域が強め、バスドラの音圧も十分で、彼お得意の気持ち良く踊れるダンスチューンとしての楽しさは文句なしだった。
オーディエンスは次々に繰り出されるアッパーな曲に歓喜の声をあげ、休む間もなく腕を上げ飛び跳ねる。アダムとバンドメンバーも笑顔を見せながらさらに会場を盛り上げていく。“Fireflies”ではアダムがオーディエンスにマイクを向け、フロアから美しいシンガロングが生まれた。「ビューティフル!」と空を仰ぐアダム。その先には青空を舞うシャボン玉が。“Unbelievable”では印象的な口笛のフレーズに合わせてみんなで口笛を吹く場面もあった。アダムとオーディエンスが同じ熱量でライブを楽しみ、その熱や気持ちの盛り上がりが互いに作用して、ステージをより素晴らしいものへと昇華させていた。
上がり続けたフロアのテンションが最高潮を迎えたのは、満を持してドロップされたラストの“Good Time”。待ってましたとばかりに歓声が沸き起こり、あちこちで笑顔がはじける。アダムの方もステージ前方のせり出しの端ギリギリまで出てきて、フロアを指差し、拳を上げ、全身でオーディエンスを煽る。こんなにも笑顔で動き回るアダムを見たら、彼がどれだけこの時間を楽しんでいるか、会場のすべての人に伝わっただろう。最後の一音にまでありったけの熱をこめてオーディエンスに届けた彼は、大きな歓声と拍手を受けて笑顔でステージを後にした。フジロック初日、やっと訪れた晴天への喜びを何倍にもしてくれるような、多幸感に満ち満ちたライブだった。