アトミック・カフェ トーク 津田大介・TOSHI-LOW・細美武士
ミュージシャンによる真剣トーク。最後は新バンド結成?
アトミック・カフェ トーク day1には、津田大介、TOSHI-LOW、細美武士の3人が登場。津田が進行役になって、原発問題や安全保障関連法案、そしてミュージシャンが政治的な発言をすることについて、それぞれが思いを語り合った。
トーク冒頭は、ミュージシャンが政治的な行動や発言をすることに否定的な人がいることについて。「Twitterとか見ていると、なぜミュージシャンが政治的なことをやるとあんなにバカにされるんだろう、と。バカだと思われているのでしょうか」と津田が投げかけると、細美は「そういう人たちは、本来見ないといけないことから目を逸らしたい、目を逸らしたままいたい、というだけなんじゃないのかなと思う」「それが全体の総意かといえば、絶対にそうじゃない。Twitterとかには表層的なラウド・マイノリティがたぶん表に出ていて、その後ろにサイレント・マジョリティがごっそりいる」と考えを述べた。
東日本大震災以降、BRAHMANのライブでMCを語るようになったTOSHI-LOWは、「元々、その人たちが言っている原理で俺は動いてないし、現場主義だし、人と人を見て動いているから。そんな大きなものを見てないで、直感で言っている。それが間違ってるとか正しいなんてことじゃなくて、俺はこう思うよ、って言ってるだけ」として、自分の意見を投げかけることで、問題に対して興味を持ってもらうことが大事だと語った。
津田が「8月10日には川内原発が再稼働するのではないかと言われている。それだけじゃなくて、伊方原発、高浜原発も検査に合格して、この夏から原発の再稼働が本格化しようとしている」と原発の再稼働問題について話を向けると、TOSHI-LOWは「福島がいまだあの状態なのに、どう考えて再稼働しているのか俺はわからない」とキッパリ。細美は、電気料金の総括原価方式の課題や、プルトニウムを使ったプルサーマル発電の問題点を具体的に挙げて、「いつとははっきり言えないけど、今の状況だといつか必ずまた原発は爆発すると間違いなく言えると思う」と指摘する。
原発や安保法案などの問題に対して疑問や反対の意見を持っている人たちが、自信を持って行動するためには何が必要か、という津田の質問に対して細美は、「『反原発、イェイ! 脱原発、イェイ!』ってお客さんを盛り上げるのは簡単だけど、それに乗っかっちゃってるだけだと何の意味もない。肝心なのは、どんな行動を起こすにしても、出発点は自分の頭で考えた結論かどうかということ。何かで読んだ、誰かが言っていたじゃなくて、どんな情報の量を自分が持っていようが、結論は自分で出すというのがすごく大事だと思う」と自分で結論を出して行動することの重要性を説いた。TOSHI-LOWは「俺は細美武士の話を聞くっていうことに集中しようかなと(笑)。だから、良い友だちを持つことが大事。細美くんは(原発の構造や問題を)ちゃんと説明できる、バンド界の池上彰ですよ。(津田さんの)ライバルですね」と語って観客を笑わせた。
トークの最後は、またアトミック・カフェ トークで語る機会を作ろうと提案する津田に「来年は3人で歌おうよ、ダイスケはん」とTOSHI-LOWがムチャぶり。「ホントはベース弾けるんだよね?」と語るTOSHI-LOWに、「ホント? the LOW-ATUS、ベース空いてるから」と細美が乗っかる。津田が話を変えようと「池上彰さんとかも連れてきたいんですよね」と振ると、TOSHI-LOWは「じゃあ、ドラムで」と池上さんまでバンドに加入させてしまう。そんな3人のやりとりに、観客は大爆笑。ジプシー・アヴァロンいっぱいに集まったオーディエンスは時に笑顔で時に真剣に、最後まで熱心に彼らの話に耳を傾けていた。