NATE RUESS
声に魅了された爽やかな昼下がり
昼下がりのグリーンステージ。先ほどまでぎらぎらと照りつけていた太陽が雲に隠れ、涼しい風が心地よく流れている。2013年にファン.のボーカリストとしてフジロックはグリーン・ステージへの出演を果たしたネイト・ルイス。今回はソロ・アーティストとして、2年ぶりに苗場の地を踏みしめることになったのだ。
開演時刻ちょうどに”Grand Romantic”のイントロが会場に壮大に流れ、まずバンドがステージに登場してほどなくネイトが手をふりながら姿を見せた。ネイトの入りの掛け声を合図に”Great Big Storm”でステージの幕が上がった。ファン.直球の親しみやすいメロディのみで組み上げられた佳曲を爽やかに歌い上げる。リズムに合わせて上下に飛び跳ね、ステップを軽快に踏む。のっけから高いテンションでフロアを盛り上げるのだ。
ステージ上方に黄色の照明が灯り、ネイトがビートに合わせてオーディエンスに手拍子を促す。(電子)鉄琴の音が可愛らしく鳴り響く”You Light My Fire”を披露し、ステージのテンションをキープ。頭の流麗なピアノのしらべと、アコギから爪弾かれる音色が感動的に響くと、ファン.の”Carry On”になだれ込んだ。2つのアコギだからか、音に厚みがあって、オリジナルよりも格段にかっこいい。サビと手を突き上げシンガロングさせる。フロアから投げかけられた大歓声に、ネイトは舌を出して照れ隠しをするのだ。
ゴスペル調の荘厳なキーボードの音色に軽快なビートが注入されると、プリンスの名曲”Let’s Go Crazy”のカバーがはじまった。グルーヴ感を醸成しフロアにダンスを促すのだ。それにしても、バックバンドが実にかっこいい!ネイトの声をあくまでバックアップする形で適切な音を出力している。確かなスキルに裏打ちされているからこそできる芸当だ。ファッショナブルな出で立ちも、縦横無尽にステージを動き回るパフォーマンスも実にいけている。
かつて、ネイトが在籍し来日したこともあるザ・フォーマットの”Oceans”の楽しいカバーを挟んで、”Take It Back”と”Nothing Without Love”の2曲続けてしっとりと、そして力強く歌い上げる。ネイトのボーカリストとしての力量とカリスマ性に圧倒された。クイーンのフレディ・マーキュリーの再来と言わせしめるだけのことはある。
出だしのドラムのビートが鳴り響いただけでこの大歓声だ。ファン.の”We Are Young”を満を持して投下してくる。サビの大合唱が沸き起こった。「フジロックは世界一のフェスだ。2回も出演させてくれてありがとう!ここにいる君たちは最高だ!」と最大限の謝意を示すネイト。2年前の幸せな光景を思い浮かべた人もいたことだろう。
ラストは、ファン.の”Some Nights”だ。出だしのハモりと、みんなで叫ぶ掛け声に思わずジーンと来る。大きな歓声に包まれた中、ネイトとバンドが満足そうな面持ちでステージを後にした。
-Setlist- *ライターメモ
Great Big Storm
You Light My Fire
Carry On
Let’s Go Crazy
Oceans
Take It Back
Nothing Without Love
We Are Young
What This World Is Coming To
Harsh Light
Some Nights