PHIL SMITH
お祭り仕様、UKの大ネタ連発のセット
今年のグリーンの大トリを飾ったノエル・ギャラガーがまだインスパイラル・カーペッツのローディーに過ぎなかった時代のこと、ストーン・ローゼスのローディーをつとめていたのが、フィル・スミスだった。やがて、フィルはオアシスのローディーをつとめることとなり、1997年から、オアシスのステージDJをつとめるようになる。
そんな彼のDJは、イギリスで生まれた曲ばかりだった。普段のプレイスタイルから、そうなのかはわからない。ただ、「UK縛り」といえば、いわゆる「UKロック」だとか、「ブリットポップ」と呼ばれる楽曲と、そのフォロワーたちが生み出した楽曲ばかりとなりがち。だけれども、彼は違った。
ストーン・ローゼスやオアシスはフックとして当然かけられるのだが、レッド・ツェッペリン”ロックン・ロール”に、ザ・クラッシュ”イングリッシュ・シビル・ウォー”にザ・スペシャルズ”トゥー・マッチ・トゥー・ヤング”、ファットボーイ・スリム”プレイズ・ユー”などなど、時代もジャンルもバラバラな選曲だった。イギリスの音楽を通っていれば、7割がた聴いたことのある楽曲ばかりで、オーディエンスからも、しきりに大合唱が巻き起こっていた。
その年の出演者や、フジで語り継がれているバンドの楽曲を繋ぐ前夜祭のDJマメヅカと同じく、UKの大ネタを使って繋げていく様は、簡単なようでいて、実際にやるとなると相当な覚悟がいることだろう。DJは「ディガー(レコードを探す人)」としての一面も備えていなくてはならないため、大ネタ使いはバカにされてしまうのだ。
そばには、オアシス/ノエル繋がりでプロカメラマンのミッチ池田氏がおり、フィルを撮影していた。フジの少し前に、ミッチ氏に、フィルがまとめたミックスCDのリストを見せてもらったことがある。それは、年代別、ジャンル別、コンセプト別に細かく分類されたもので、研究のたまものといえるものだった。かようなわけで、今回は祭りの特別仕様。中日の一番おいしい時間帯を盛りあげることに徹したステージだった。