[Alexandros]
ドロスの勇姿が青空に映える
サウンドチェックで登場するなり自身の楽曲はもちろん、プライマル・スクリームやらミュートマスやらを演奏し、オーディエンスのフジロック気分を大いに盛り上げてくれたアレキサンドロス。初のフジロック、しかもグリーン・ステージへの出演に、4人の喜びと興奮がリハの段階から伝わってくる。そんな彼らを祝福するように、苗場の空はこの上ない快晴だ。
いつものように”Burger Queen”をSEに登場すると、「フジロック!」と川上洋平(Vo&Gt)が叫び、1曲目は”Boo!”。白井眞輝(Gt)のノイズ混じりのギターサウンドが、フジロックの朝に心地良く駆け抜けていく。「おはようございます。アレキサンドロスと申します。暴れる準備はできてますか? 行くぞ!」と川上が煽って”Waitress, Waitress!”へ。続く”Run Away”ではイントロから大歓声が巻き起こった。彼らの引き締まったシャープなバンドアンサンブルが、苗場の青空と緑によく映える。
彼らが高校生の時にフジロックがスタートしたと川上は語り、バイト代を貯めて行こうと思っていたが間に合わなかったため、「出演者としてじゃないとフジロックには来ないと決めていた」のだとか。「グリーン・ステージに出させてもらって光栄です、ありがとうございます」と初めてのフジロックのステージに立つ喜びを噛みしめると、Kick&Spin”の演奏前には川上と磯部寛之(Ba&Cho)はハグを交わしていた。きっと感慨深いものがあったのだろう。
「今日は星空が出るように願って歌います」と演奏した”starrrrrrr”では、オーディエンスから大きなハンドクラップが送られた。「みんな、良いことありました? フジロック夜は良いことがあるって聞いたんですよ。そんな良いことがあった人のために、この曲を歌いたいと思います」と語って披露した”Leaving Grapefruits”は、繊細な歌声と柔らかなサウンドでオーディエンスの心を強く締め付ける。トライバルなビートで疾走するアンセム”ワタリドリ”では、どこからかフィールドに涼しい風が吹き抜けていって、アレキサンドロスのロックチューンを感動的に演出した。
「小学生の時から唯一ずっと憧れていた人が最後に出る今日、このステージを俺たちで始められて本当に光栄です。あの人が俺の師匠で良かった」と本日のグリーン・ステージの大トリを飾るノエル・ギャラガーの名前を挙げる。フジロック初出演だけじゃなく、憧れのノエルと同じステージに立てたことも誇らしいのだろう。「最後の曲を、今日という日に捧げたいと思います」と語って演奏したのは、バンドの決意を高らかに歌ったミディアム・バラード”Adventure”だ。初めてのフジロックと意気込んだ彼らだったが、ステージで躍動する4人の姿は大きなグリーン・ステージが本当によく似合っていた。青空の下で痛快なロックチューンを響かせたアレキサンドロスの勇姿は、オーディエンスの胸にも鮮烈な印象をもたらしたに違いない。