THE KOXX
隣国からのモンスターバンド!
最終日のトップバッターを務める台湾出身のマニック・シープに続き、アジアのバンドを一目見ようと人が続々と集まる、蒸し暑いレッドマーキー。韓国、というとやはり東方神起とかKARAとか、いわゆる「K-POP」と呼ばれるアイドルの文化が確立していて、まだまだインディーズバンドには陽が当たらない、というイメージがある。2011年にはアジアン・カンフー・ジェネレーションの主催するナノ・サーキットに、そしてサマーソニックにも2年連続で出演し、日本でも密かに注目を集めているが、何故かネットにはほとんど情報が出てこない。一体どんなバンドなのだろう。
西部劇のワンシーンのようなSEで登場したザ・コックス。スタート間もないのに、いきなり全力疾走の熱いライブ。「サケベ―!!!」という彼らの言葉に応えるように、観客も身体を左右に動かす。”Oriental Girl”では、韓国人だと思われる観客が盛り上げ、それにつられて周囲の日本人も飛んだり跳ねたり。本当に音楽は国境を超えるのだと、再確認できた瞬間であった。堪らない青臭さを出し、Two Door Cinema ClubのようなUKっぽさを醸し出しつつも、そこに上手くエレクトロ二カな展開に持って行くのが、彼らの音楽の魅力である。また、ヒョンソン(Vo&Gt)の歌のアンバランス感も、楽曲を引き立たせる要因の一つだと思う。
「僕たちはコックスです。皆さんにお会いできて、とても嬉しいです。特に可愛い女の子。好きです。本気で、好きです。皆さんとこの時間を過ごすことができてうれしいです。」というセリフを、エコーを通じたSiriのようにシンセサイザーに喋らせる、という新しい形のMCも微笑ましく、観客からは拍手が起こる。
彼らのシューシングル”Trojan Horse”では、ロックサウンドにゲームサウンドのようなシンセサイザーを上手く重ねたナンバー。ヒョンソンも一緒になってシンセサイザーを弾いたり、スリュン(Gt)のアレンジの利いたギターソロが彼らの生み出すエレクトロサウンドにぴったりとハマる。“Trouble Maker”では、アッパーチューンな展開に、観客も大盛り上がり。ショーン(Syn)が「The KOXX」と大きく書かれた旗を振り、ヒョンソンも一緒になって観客側へ赴き、身体をくねらせ、なんともシュールなダンスを見せてくれた。
徴兵制度で二年の活動休止期間はあったものの日本国内のフェスで引っ張りだこな彼ら。もっと活動の幅を広げて、再び日本で見られることを期待したくなる、そんなライブだった。